研究課題
近位依存性ビオチン化により、中性・塩基性アミノ酸を液胞外へと排出するAvt4と相互作用するタンパク質候補として複数のTORC1関連タンパク質が同定された。さらに架橋剤を用いた共免疫沈降により弱いながらも相互作用が検出された。TORC1阻害剤であるラパマイシンで処理するとAvt4は脱リン酸化し、さらにAvt4の推定リン酸化部位のアラニン置換によりアミノ酸輸送活性の亢進が示唆されたことから、TORC1によるリン酸化がAvt4のアミノ酸輸送活性を抑制することが示唆された。その一方で、Avt4欠損によるラパマイシンへの耐性付与やTORC1基質のリン酸化が示されたことから、Avt4がTORC1を抑制することが示唆された。これら結果をまとめ、Avt4とTORC1が相互に調節するとのモデルを立て学会にて発表した。またシンポジウムでの招待発表も行った。欠損すると液胞内塩基性アミノ酸含量が増加するYpq1・Ypq2とリジン合成酵素Lys1をAvt4とともに多重欠損すると窒素飢餓条件での生存率が低下し、胞子形成能も失う。また中性アミノ酸を液胞外へと排出するAvt3・Avt6・Avt7とAvt4を多重欠損した二倍体株は胞子形成効率が減少する。これらの場合、いずれもオートファジー依存的に発現が誘導されるタンパク質の合成低下を伴うことが示された。さらに、Avt3、Avt4、Avt6、Avt7の多重欠損株では放射標識アミノ酸のタンパク質への取り込みが部分的に低下することも検出し、オートファジー欠損株と同様に液胞アミノ酸トランスポーターの多重欠損株も窒素飢餓条件でタンパク質合成が低下すること強く示唆する結果を得た。
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生化学
巻: 95 ページ: 747-756
10.14952/SEIKAGAKU.2023.950747
PLoS Genetics
巻: 19 ページ: e1010732
10.1371/journal.pgen.1010732