イネ3量体Gタンパク質複合体を構成するコアサブユニット遺伝子は7種類である(α、β、γ1~γ5)。申請期間内に、野生型に加え、多様なGタンパク質変異体での、コアサブユニットの定量を目指した。本年度は、3種類のイネ、T65(野生型)、GS3(Gγ3ヌル変異体)、Mi(Gγ3ΔCis変異体)を用い、細胞膜と抗Gα抗体での免疫沈降産物を定量した。 T65、GS3、Miの細胞膜(300μg)を可能化し、抗Gα抗体を用いて免疫沈降を行い、その産物を解析した。単位はpmolであらわす。結果、すべての品種で、およそ、Gαは4.0、Gβは4.5、Gγ1は0.2、Gγ2は0.02であった。Gγ4サブユニットとGγ5サブユニットは、検出限界以下であった。Gγ3サブユニットは、およそ、T65は0、GS3はヌルのため0、Miは0.66であった。 昨年度、細胞膜上に過剰のGβサブユニットが蓄積していることを見出していた。本年度、抗Gα抗体で免疫沈降すると、GαサブユニットとGβサブユニットは、1:1であった。Y2Hでは、GαサブユニットとGβサブユニットは、相互作用しないので、免疫沈降結果は、両者を結ぶアンカータンパク質が存在することを示唆した。 次に、細胞膜(300μg)を出発とした、免疫沈降産物のGγ1~Gγ5の総和は、T65は0.26、GS3は0.2、Miは0.16であった(単位はpmol)。免疫沈降したGαの量、4.8 pmol、に比べて、Gγサブユニットの総量は極めて小さかった。この結果は、Gγサブユニットは、複合体から乖離しやすいことを示している。動物や酵母においては、βとγサブユニットは強固なダイマーを形成しているとされていると考えられているので、この結果は、イネ独特の特性であろう。
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