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2022 年度 実施状況報告書

ドローン支援表現型解析技術を用いたイネ科作物の理想的群落構造の再設計

研究課題

研究課題/領域番号 21K05537
研究機関北海道大学

研究代表者

中島 大賢  北海道大学, 農学研究院, 助教 (70710945)

研究分担者 加藤 洋一郎  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50463881)
郭 威  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70745455)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードトウモロコシ / 耐倒伏性 / 群落構造 / 草型
研究実績の概要

昨年度までに,子実の収量性が異なる飼料用トウモロコシ2品種の草型および群落構造に関わる形態形質を調査し,その品種間差異を明らかにした.本年度は,これらの品種のほか,耐倒伏性が異なる3品種を新たに供試した.また,従来の破壊調査や2次元草姿骨格解析に加えて,SfMによる3次元点群再構築技術および茎部に取り付けた加速度センサアレイによる茎物性評価法を開発・導入し,耐倒伏性に関わる地上部・地下部の形態特性を解析した.
その結果,個体あたりの緑葉数や葉面積には有意な品種間差は認められなかったものの,耐倒伏性に優れる品種では上位-中位葉の個葉面積が有意に小さかった.また,葉身形状にも有意な品種間差異が認められ,耐倒伏性品種では上位-中位葉の葉身が長く,幅が小さい形態を示した.さらに,加速度センサーアレイを用いた茎物性評価から,茎強度には品種間差があり,いずれの品種においても着雌穂以下の茎強度が上位茎に対して顕著に硬く,耐倒伏性品種では上位/下位の強度比が小さい傾向にあった.これらの形態形質や物性は,群落上層の受風面積の低減や受風圧を受け流すうえで有用な形質になりうると考察された.さらに,耐倒伏性品種では根系支持力も強く,その要因として,上位節根の理想的な出根角度や側根に対する乾物分配率が高いことが見いだされ,耐倒伏性品種では地上部と地下部両方の構造が倒伏リスクの軽減に寄与している可能性が示唆された.
今後は,地上部構造の品種間差異が実際の風応答や群落の受光態勢に及ぼす影響を定量的に評価する必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,昨年度から試行を重ねてきた3次元点群再構築技術や加速度センサーアレイを用いた茎物性評価などの新規手法を開発・導入することで,地上部の形態特性を様々な観点から個体スケールで詳細に解析することが可能となった.これにより,耐倒伏性品種における地上部構造の特徴づけが格段に進んだ.一方で,群落規模での構造評価はやや遅れており,個体スケールで得られた知見を群落規模に展開することが現状の課題と言えるが,全体としてはおおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

本年度は,新規手法の導入により,地上部の形態形質や茎物性の詳細な特徴づけが可能となったが,これらの品種間差異が実際の強風下でどの程度地上部負荷量の低減に寄与するかを定量的に評価する必要がある.そこで,次年度は,地上部構造が異なる品種を対象に加速度センサーやトルクセンサーを取り付け,強風下での風応答の実測を試みる.これらの知見を統合し,トウモロコシの受風態勢と受光態勢を両立するうえで必要な草型関連形質と群落構造を検討する.

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた対面での打ち合わせをオンライン化したことに加えて,オープンアクセスジャーナルの掲載料を一般運営財源から捻出したため,次年度使用額が生じた.繰越分は,研究を進める過程で新たに必要となった消耗品の購入に充てる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Non-destructive high-throughput measurement of elastic-viscous properties of maize using a novel ultra-micro sensor array and numerical validation2023

    • 著者名/発表者名
      Taiken Nakashima, Haruka Tomobe, Takumi Morigaki, Mengfan Yang, Hiroto Yamaguchi, Yoichiro Kato, Wei Guo, Vikas Sharma, Harusato Kimura, Hitoshi Morikawa
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 4914

    • DOI

      10.1038/s41598-023-32130-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 北海道向けトウモロコシ品種の耐倒伏性に関わる構造特性2023

    • 著者名/発表者名
      楊夢凡, 森垣拓巳, 松井康眞 , 松村悠生, 山田敏彦, 柏木純一, 尾島徳介, 市川伸次 , 中島大賢
    • 学会等名
      日本草地学会札幌大会
  • [学会発表] 生育後期の窒素施用に対するトウモロコシの成長応答2023

    • 著者名/発表者名
      劉凡渝 , 中島大賢, 加藤洋一郎
    • 学会等名
      日本作物学会第255回講演会
  • [学会発表] 極小加速度センサーアレイを用いたトウモロコシの弾性特性のハイスループット計測技術2023

    • 著者名/発表者名
      友部遼, 中島大賢, 森垣拓巳, 楊夢凡, 山口寛登, Vikas Sharma, 木村春里, 盛川仁, 加藤洋一郎
    • 学会等名
      日本作物学会第255回講演会
  • [学会発表] 耐倒伏性が異なるトウモロコシ品種における地上部構造の品種間差異2022

    • 著者名/発表者名
      森垣拓巳, 楊夢凡, 松井康眞 , 松村悠生, 柏木純一, 友部遼 , 郭威 , 加藤洋一郎 , 市川伸次 , 中島大賢
    • 学会等名
      日本育種学会・日本作物学会北海道談話会
  • [学会発表] トウモロコシの耐倒伏性強化に関わる根系形質の品種間比較2022

    • 著者名/発表者名
      楊夢凡, 森垣拓巳, 松井康眞 , 松村悠生, 柏木純一, 尾島徳介, 市川伸次 , 中島大賢
    • 学会等名
      日本育種学会・日本作物学会北海道談話会

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公開日: 2023-12-25  

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