研究課題/領域番号 |
21K05546
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
笠島 真也 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (30564463)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コムギ / 草型 / きたほなみ / 窒素施肥 / 多収性 / ソース・シンク / 細麦 |
研究実績の概要 |
北海道における秋播性コムギ基幹品種「きたほなみ」を圃場で栽培し、起生期窒素追肥区と幼穂形成期窒素追肥区を設けた。本年では、両区の草型に大きな違いがみられなかった。ソース能とシンク能については、主に以下のような結果を得た。 1)子実収量は、幼穂形成期窒素追肥区が起生期窒素追肥区よりも低かった。1穂粒数と千粒重は処理区間に差がなかったが、穂数は幼穂形成期窒素追肥区が起生期窒素追肥区よりも少なく、窒素追肥を起生期から幼穂形成期に遅らせることで穂数が抑制されることが示された。開花期から成熟期までの個体群成長速度(CGR)は、幼穂形成期窒素追肥区が起生期窒素追肥区よりも高かった。 2)穂の小穂内粒重を調査した結果、穂軸から数えて7番目の小穂の粒重が両区とも最も重く、幼穂形成期窒素追肥区が起生期窒素追肥区よりも重かった。穂の諸形質については、穂長と小穂数は起生期窒素追肥区の方が大きく、一穂粒数、一穂粒重、整粒重、整粒歩合は幼穂形成期窒素追肥区の方が大きかった。 これらのことから、窒素追肥を従来の起生期から幼穂形成期にずらすことで、穂数が抑制され、登熟期間の乾物生産が増大し、細麦率が低下することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は概ね当初予定していた計画どおり推移しているが、一部のサンプルで融雪後の鳥害により草型や収量データの信頼性に影響が出たため、今後防鳥ネットなどにより対策を講じた上で圃場試験を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は圃場試験のサンプルの獣害・鳥害対策を十分に行い、収量性の正確な評価に努めるとともに、予定どおり起生期窒素追肥区と幼穂形成期窒素追肥区を設け、草型に関するデータを得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
圃場試験に係る農業資材に見込んでいた支出が想定よりも少額だったことに加え、学会発表がオンラインで行われたため旅費の支出がなかったことにより、次年度使用額が生じた。次年度以降は、獣害・鳥害対策や防除管理に通常よりも予算を充てる予定である。
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