研究課題/領域番号 |
21K05560
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本多 親子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40343975)
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研究分担者 |
大森 良弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20398390)
田中 福代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, ユニット長 (50355541)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ブドウ / シャインマスカット / 無核化処理 / 香気成分 / GC-MS / ストレプトマイシン / ジベレリン |
研究実績の概要 |
ブドウ「シャインマスカット」に、ストレプトマイシン処理およびジベレリン処理による無核化処理を行い、8月上旬から9月下旬にかけて、処理区および無処理(CK)区の果実のサンプリングを行った。香気成分プロファイルとRNA-seq解析のデータをweighted gene co-expression network analyses(WGCNA)により統合解析した結果、果皮と果肉にそれぞれ特異的なモジュールが検出された。この二つのモジュールと相関のある香気成分(r > 0.9)はすべて、二元配置分散分析により無核化処理および生育ステージでそれぞれに有意な差が認められた香気成分であった。また、この果皮のモジュールと相関のある24成分のうち、16成分はこの果肉のモジュールと共通であった。以上の結果により、これらのモジュールに含まれる遺伝子の発現変化が無核化処理および生育ステージにおける香気成分生成の違いの要因となっていること、無核化処理による遺伝子発現変化の影響は果皮と果肉で部分的に共通であることが示唆された。 三倍体ブドウの「ハニーシードレス」に、ストレプトマイシン処理およびジベレリン処理による無核化処理を行い、8月下旬に処理区およびCK区の果実のサンプリングを行った。GC-MSによって香気成分の分析を行った結果、メチルエステル類およびエチルエステル類のピーク強度が無核化処理区で有意に減少していることが明らかとなった。三倍体である「ハニーシードレス」には元々種子がほとんど存在しないため、無核化処理によって香気成分生成に差が生じる要因として植物成長調節剤の影響が大きいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無核化処理および無処理区(CK区)の「シャインマスカット」の果実における香気成分プロファイルを調べた結果、成熟過程における香気成分の変動特性が両者では大きく異なること、特に成熟初期のプロファイルの相違が大きいこと、成熟が進むとその差が小さくなることが明らかとなった。 香気成分プロファイルとRNA-seq解析のデータをWGCNAにより統合解析した結果、果皮と果肉にそれぞれ特異的なモジュールが検出された。この二つのモジュールと相関のある香気成分はすべて、無核化処理および生育ステージでそれぞれに有意な差が認められた香気成分であった。また、この果皮のモジュールと相関のある24成分のうち、16成分はこの果肉のモジュールと共通であった。以上の結果により、これらのモジュールに含まれる遺伝子の発現変化が無核化処理および生育ステージにおける香気成分生成の違いの要因となっていること、無核化処理による遺伝子発現変化の影響は果皮と果肉で部分的に共通であることが示唆された。 種子がほとんど存在しない三倍体ブドウの「ハニーシードレス」を用いて、無核化処理の有無による香気成分の比較を行った結果、メチルエステル類およびエチルエステル類のピーク強度が無核化処理区で有意に減少していることが明らかとなり、無核化処理によって香気成分生成に差が生じる要因として植物成長調節剤の影響が大きいことが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
無核化処理を行ったが種ありとなった「シャインマスカット」の果実をサンプリング済みである。この果実の香気成分を分析し、無核化処理区と区とで香気成分に差が生じる原因が、種がないことによるのか、植物成長調節剤による無核化処理によるのものなのかを調べる。 さらに、収穫後にジャスモン酸を散布した無核化処理区の果実をサンプリング済みである。ジャスモン酸散布による香気成分の変化(回復)について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
23年度に消耗品を購入するため。
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