研究課題/領域番号 |
21K05568
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
馬場 正 東京農業大学, 農学部, 教授 (80277243)
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研究分担者 |
吉田 実花 東京農業大学, 農学部, 助教 (50825403)
小泉 明嗣 神奈川県農業技術センター, 生産技術部, 主任研究員 (90522897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トマト / 貯蔵 / 低温障害 / 高温処理 / 栽培環境 / 温度 / 光 / 出荷調整 |
研究実績の概要 |
収穫したトマト果実を1か月程度貯蔵するためには、低温障害の発生を防ぐ必要がある。そこで低温貯蔵前に高温(HS)処理を試み、その軽減効果を検証した。 まず赤みがのり始めた「催色期」の果実を11月から3月にかけて毎月収穫し、低温貯蔵前にHS処理を行い、低温障害軽減効果を観察した。その結果、11月収穫果は低温耐性を有しておりHS処理を行わなくとも1か月貯蔵できた。12月収穫果を処理せず低温貯蔵すると低温障害の発生が顕著であったが、貯蔵前にHS処理を行うと明らかに低温障害の発生が軽減できた。一方1月~3月収穫果では、HSを施しても低温障害の発生が顕著であった。また収穫時点で着色程度の異なる果実を収穫し低温貯蔵を試みたが、着色程度と低温耐性との間に明確な関係は認められなかった。 次に、HS処理効果の異なる果実の特性を明らかにするため、老化の一指標であるマロンジアルデヒド(MDA)含量を測定した。低温耐性の異なった11月と12月収穫果の収穫時点でのMDA含量を比較したところ、有意差はなかった。 さらに、HS処理効果を規定する栽培中の微気象要因の解析を行うため、まず栽培中連続的に果実表面温度を測定するノウハウを確立した。その結果、果実表面温度は通常測定するハウス内温度(温室中央部のトマト生長点付近の気温)よりも1~2℃ほど低く推移したが、変動傾向は同じであった。低温耐性と温度要因の解析に、果実表面温度の代わりにハウス内温度が使用できることがわかった。解析の結果、収穫日に近い短期間の高温が低温耐性付与に寄与していることが示唆された。一方光環境については、生育期間全体を通じて放射強度が強い時期に低温耐性が付与されることが示された。また波長ごとの放射照度を測定したところ、特定の波長で大きく変動しており、現在これらのデータと低温耐性との関係を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担者がそれぞれの役割を果たして、おおむね順調にデータが取れている。波長ごとの放射照度のデータの取得が、機器の不具合によって一部データ漏れが生じた。そのため解析が滞っているが、全体の進行に大きな不具合はない。
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今後の研究の推進方策 |
栽培サイクルが8月~翌年の夏までなので、まずは1サイクルのデータを取ることに努める。波長ごとに放射強度は重要なデータとなるので、測定する機器の管理会社との連絡を密にして、連続的なデータを漏れなく取得できるように努める。最終的に特定波長のLEDによる補光栽培技術の開発を想定しており、この問題点を克服してデータの解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
対面でのサンプル受け取り、打合せを計画していたが、コロナ禍により郵送ないしオンラインでの実施としたことによって、使用減となった。次年度は同条件での観察を行うため、しばらく郵送でのサンプル受け取りを継続する。打合せについては、オンラインとともに対面での実施を計画している。
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