研究課題/領域番号 |
21K05568
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
馬場 正 東京農業大学, 農学部, 教授 (80277243)
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研究分担者 |
吉田 実花 東京農業大学, 農学部, 助教 (50825403)
小泉 明嗣 神奈川県農業技術センター, 生産技術部, 主任研究員 (90522897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 低温障害 / トマト / ヒートショック / 遠赤色光照射 |
研究実績の概要 |
収穫したトマト果実を1か月程度貯蔵するためには低温貯蔵が必須となる。ただしトマト果実を一定期間以上低温下に置いてから常温に戻すと、低温障害の発生が著しい。そのため果実に低温耐性を付与して、低温障害の発生を軽減する技術開発に挑戦した。 月別に収穫して、果実の低温耐性と栽培条件との関係をみたところ、収穫日に近い短期間の高温と開花後から収穫日までの長期間の光条件が低温耐性付与に寄与していることが示された。そこで一つは低温貯蔵前に高温(HS)処理を行い、低温障害軽減効果の月別変動を調査した。次に栽培中に遠赤色光照射を行い、低温耐性が付与できるかを検討した。 催色期に収穫した果実に対して低温貯蔵前にHS処理を行い、HS処理を行わない果実を対照区として低温障害の発生を比較した。その結果、2021-2022年は年内収穫果に限ってHS処理に低温障害軽減効果が認められたが、2022-2023年はHS処理に安定的な低温障害軽減効果は認められなかった。2022-2023年は栽培中低温寡照傾向が著しかった年であった。このようにHS処理の低温障害軽減効果は、一定程度の温度と光がある条件で栽培された果実に限ることが示された。なおHSは貯蔵温度によらず着色遅延効果があり、常温貯蔵における貯蔵性延長技術として利用する方が安定した効果が得られることがわかった。 一方冬期の低温寡照月における遠赤色光補光が低温耐性付与に及ぼす影響について検討した。その結果、補光を行った果実で、低温障害指数の低下、健全果率の上昇が認められた。このように栽培中の遠赤色光の補光によって、低温に強いトマト果実を生産できる可能性が示された。
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