研究課題/領域番号 |
21K05569
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大久保 直美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, グループ長補佐 (90343962)
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研究分担者 |
御巫 由紀 千葉県立中央博物館, その他部局等, 科長 (10250151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バラ / 香気成分 / フルーツ香 / 枝変わり |
研究実績の概要 |
国内のバラ園(京成バラ園、国営越後丘陵公園バラ園、佐倉草ぶえの丘バラ園、谷津バラ園、横浜イングリッシュガーデン)にて、フルーツ香を持つ品種およびそれらのバラの育種に関わった品種および野生種を中心に、約150種のバラの発散香気成分をツイスターにてサンプリングし、GC-MS分析を行った。 代表的なフルーツ香の品種である‘ダブル・ディライト’については、主要香気成分は酢酸フェニルエチルであり、香気成分の約50%が芳香族化合物で占められていた。フルーツ香を持つ花粉親の‘ガーデン・パーティ’も同様の傾向であったが、モノテルペン類は検出されなかった。一方でティー香を持つ種子親の‘グラナダ’からは酢酸エステル類は検出されなかった。‘ダブル・ディライト’のフルーツ香は‘ガーデン・パーティ’の影響が大きいと考えられた。もう一つの代表的なフルーツ香の品種である‘ドゥフトボルケ’については、主要香気成分は酢酸ゲラニルであり、酢酸シトロネリル、酢酸フェニルエチルも多く検出された。それら酢酸エステル類は、フルーツ香とティー香をあわせ持つ種子親の‘プリマ・バレリーナ’から検出された。一方でワックス香を持つ花粉親の‘モンテズマ’からはバラの芳香に関与する香気成分はほぼ検出されなかった。‘ドゥフトボルケ’のフルーツ香は‘プリマ・バレリーナ’の影響が大きいと考えられた。 枝変わりにより香気成分組成が大きく変化したバラを見いだした。グリーン感のあるフルーティな香りの‘フラウ・カルル・ドルシュキ’の香気成分組成は、枝変わり品種の一つでありバラ様の香りを持つ ‘艶姿’とは大きく異なっていた。‘フラウ・カルル・ドルシュキ’の香気成分の主要経路はセスキテルペンおよび脂肪酸誘導体の経路である。‘艶姿’の主要経路はモノテルペン経路であり、突然変異により香気成分の生合成が大きく変化したものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画では、(1)国内外のバラ園で香気成分のサンプリングを行いGC-MS分析を行う、(2)フルーツ香に関与する成分の質的・量的な違いを品種ごとに明らかにする、(3)各年に得られたデータをまとめ学会発表を行う、であった。 新型コロナウイルスの影響のため国外のバラ園ではサンプリングはできなかったが、国内の5カ所のバラ園に協力いただき、150種ものバラの香気成分を解析し、フルーツ香に関与する成分をはじめとして、バラに含まれる多くの成分の質的・量的な違いを明らかにすることができた。その成果を、園芸学会および香料・テルペンならびに精油化学に関する討論会にて発表した。計画はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、未分析のフルーツ香のバラの祖先品種として重要なオールドローズの香気成分のサンプリングを行う。また、解析の過程で、これまでにバラでは見いだされていなかった成分を見つけたので、それらを含むバラ品種の香気成分の再試を行う。その上で、昨年度学会で発表した内容を深め、論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、国内外のバラ園への香気成分サンプリングができなかったため、旅費を中心に残額が生じた。 残額は、今年度の旅費に使用するとともに、香気成分サンプリングに用いる器具(ツイスター)の購入と論文投稿費に使用する。今年度は国内の移動制限はなくなったため、昨年度予定していた国内の遠方のバラ園にてサンプリングを行う予定である。
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