研究課題/領域番号 |
21K05574
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大野 翔 京都大学, 農学研究科, 助教 (10722001)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アントシアニン / トウガラシ / DNAメチル化 / レトロトランスポゾン / 着色変動 / MYB |
研究実績の概要 |
UP系統はアントシアニンを蓄積するトウガラシ ‘Peruvian Purple’から枝変わりによって生じた着色変動性を示す系統で、同一個体内において紫花・白花・紫と白の複色花を同時に着生し,その着色変動性にはエピジェネティックなメカニズムの関与が示唆されている.本研究は,UP系統の着色変動を引き起こす遺伝子の特定と着色を制御するエピジェネティックなメカニズムの解明を行うことを目的としている. 本年度はこれまでに開発したCAPSマーカーと、安定着色を示す‘紫とうがらし’とUP系統のF2集団294個体を用いて『着色変動遺伝子』のマッピング解析を行った。用いたCAPSマーカー間において遺伝的組換えを生じていた13個体の結果から、『着色変動遺伝子』はCaMYBA含む約1Mbの領域に座乗していることが示唆された。この候補領域にはCaMYBAを含む4つの遺伝子があると推定されたため、これらの4遺伝子の発現解析を行ったところ、CaMYBAのみが着色変動と相関がみられた。したがって、『着色変動遺伝子』はCaMYBAである可能性が高いと考えられた。 CaMYBA領域のDNAのメチル化を広範囲に調査するために、‘Peruvian Purple’の紫花・UP系統の紫花・UP系統の白花を供試してMcrBC-PCR解析を行った。その結果、CaMYBAに挿入しているLINE-1の5’領域において白花においてのみ強くDNAのメチル化を生じているという結果が得られた。よって、この領域が着色変動を引き起こす原因領域である可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『着色変動遺伝子』のマッピング解析が順調に進展し、座乗する候補領域を約1Mbまで絞ることができた。また、CaMYBA内の塩基配列において着色変動と相関があるDNAのメチル化も検出できている。よって、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
『着色変動遺伝子』のマッピング解析に関しては現在も進行中であり、さらに個体数を増やして実験を行う予定である。また、新たにマーカーを追加して、さらに候補領域を狭めることも検討する。DNAメチル化解析に関しては、McrBC-PCR解析でDNAメチル化に差が見られた領域に関してバイサルファイトPCRを行うことで、より詳細に調査していく予定である。また、2021年度に購入したインキュベーターを用いて、栽培環境が着色変動に及ぼす影響に関しても調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
着色変動と相関があるDNAのメチル化が検出できたため、2021年度に実施しなかったNGS解析は研究の進展に応じて2022年度に実施するかどうかを検討する予定である。
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