研究課題/領域番号 |
21K05583
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
水野 真二 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (30466164)
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研究分担者 |
上吉原 裕亮 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00758394)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 巻きひげ / 転写因子 / 情報伝達機構 |
研究実績の概要 |
本研究では、ウリ科植物の巻きひげ形成機構を明らかにするため、メロンのCmTCP1転写因子を介した情報伝達機構の解析を進めている。 令和4年度までに、CmTCP1と相互作用する転写因子としてイーストツーハイブリッド(Y2H)法により単離された別の転写因子であるCmYAB1の解析を行い、この因子がin vitroでも相互作用することが共免疫沈降(Co-IP)法により明らかになった。また、両タンパク質の相互作用に係る領域をY2Hで調べた結果、CmTCP1はN末端側またはC末端側がそれぞれCmYAB1と相互作用することが示されたが、メロンおよびキュウリのTL変異株で見つかったC末端側の配列変異をCmTCP1に導入すると、相互作用能が失われた。加えて、CmYAB1はN末端側3分の2の領域がCmTCP1との相互作用に重要であり、C末端側のYABBYドメインは寄与しないことが明らかとなった。GFPを融合したCmTCP1およびCmYAB1はいずれも核に局在したことから、核内での相互作用を介した転写調節機構の存在が示唆された。また、CmTCP1遺伝子は茎頂組織において巻きひげ原基および分化後の巻きひげ全体で発現していたのに対し、CmYAB1は分化後の巻きひげおよび葉の背軸側で発現していたことから、両転写因子の相互作用は巻きひげの背軸側で限定的に起こると考えられた。以上の成果は、植物学会および園芸学会にてそれぞれ研究発表を行った。 また、CmTCP1のもう一つの相互作用因子として単離されているタンパク質リン酸化酵素PK-Y(仮称)についての解析にも着手しており、これまでに組換えタンパク質の生成と発現部位の解析を達成した。さらに、これらの遺伝子をモデル植物のシロイヌナズナに導入した組換え体を得たので、閉鎖型人工気象器内で栽培して表現型を評価しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CmTCP1とCmYAB1の機能解析および発現部位の解析は計画通りに推移し、これらの成果について植物学会および園芸学会にて学会発表を行った。また、もう一つの相互作用因子候補であるPK-Yについての解析にも着手しており、今後、in vitro結合実験やリン酸化実験を行う予定である。一方、アグロバクテリウム法を用いたメロンとトマトの遺伝子組換え体の作出は現時点までに達成できていないが、シロイヌナズナを対象とした異種発現実験については、閉鎖型人工気象器を利用して概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
相互作用因子候補であるタンパク質リン酸化酵素PK-Y(仮称)についても、YABBY転写因子と同様の解析を進める。また、解析中の因子およびそのファミリー遺伝子のメロンの部位・系統別の遺伝子発現量をRNA-seq法により比較解析する。これらの成果を論文としてまとめ、学術雑誌にて発表する予定である。
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