研究課題/領域番号 |
21K05587
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
立木 美保 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (10355381)
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研究分担者 |
八重垣 英明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主席研究員 (00355372)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | モモ / オーキシン / 軟化 |
研究実績の概要 |
硬肉モモの形質は、YUCCAの5’上流域におけるトランスポゾン挿入の有無に一致する。近年、硬肉モモの中でも新たな食感をもつ軟らかめのモモが見つかっている。このようなモモは、YUCCAの発現レベルが若干上昇することで軟化すると推測される。 硬肉モモにおけるYUCCAの発現抑制には、トランスポゾンの挿入によるDNAメチル化等が関わると考えられる。そこで、YUCCAの発現抑制機構および軟らかめの硬肉モモの原因因子を明らかにするために、まず、YUCCAの発現制御に関わる領域のDNAメチル化程度について調べた。成熟期の果実からゲノムDNAを単離し、McrBC切断法によってメチル化の有無について見当をつけた。これらの領域について、バイサルファイト処理による塩基置換後に塩基配列を決定することで、メチル化されるシトシンを特定した。その結果YUCCAの挿入トランスポゾン、およびその周辺部がメチル化されていることを確認した。 次に、軟らかめの硬肉モモ実生と一般的な硬肉モモにおけるYUCCA等オーキシン生合成に関する酵素、エチレン生合成酵素、軟化関連酵素の遺伝子発現について解析した。予想通り、軟らかめの硬肉モモではYUCCAの発現量が若干上昇する傾向が認められた。この結果から、軟らかめの硬肉モモではトランスポゾンが挿入することでYUCCAの発現量は普通モモよりも抑制されるが、一般的な硬肉モモよりは発現量は多いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硬肉モモにおけるYUCCA発現抑制の原因については不明であったが、トランスポゾンおよびその周辺部位のメチル化状態を確認でき、これらのメチル化が発現制御に関わる可能性を示唆することができた。また軟化に関する遺伝子発現について、軟らかめのモモにおいて確認できた。このように、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
軟らかめのモモの遺伝子発現について現在RNA-seq解析を実施している。一般的な硬肉モモと比較することで、軟らかめな硬肉モモの制御に関する因子を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由として次世代シークエンサーによるRNA-seq解析を実施したが、一部サンプルのRNA純度に問題があり、年度内に解析を終えることができなかったため。 使用計画としては、昨年度解析できなかったサンプルについて、改めてRNA-seq解析を実施する。
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