研究課題/領域番号 |
21K05588
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中野 善公 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 上級研究員 (50442819)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | キク / 花成 |
研究実績の概要 |
短日植物であるキクの光周性花成を制御する鍵遺伝子である「アンチフロリゲン」について、日長応答性を担う遺伝子上流の発現調節領域に着目し、その発現機構を明らかにする。長日条件のキクの葉においてアンチフロリゲンの発現が誘導される機構を明らかにすることで新規な学術的知見となり、ひいては実用技術の提案が可能となる。本応募課題ではAFT遺伝子近傍の日長応答配列の同定と、それに作用し発現を制御する転写因子の解明に取り組み、光周性花成の理解を深めることを目的とする。 これまでにAFT遺伝子上流領域のうち、上流領域約2700塩基が日長応答を示すことを確認している。さらに、AFT遺伝子上流領域約2700塩基のうち、2か所(それぞれ約500塩基)が日長応答に必要であることを明らかにしている(未発表)。 R3年度はAFT遺伝子上流領域の欠損部位をずらし、レポーターとしてGUS遺伝子に融合させた組換え体を8コンストラクト、各10系統程度を作出した。レポーターとしたGUS遺伝子の日長応答性をqRT-PCRで解析した。2か所あるそれぞれの応答領域について100塩基程度にまで絞り込みを行った。実験は順調に進んだが、AFT遺伝子は応答領域を「2か所」持っていることによって、両方を効果的に欠損した組換え体でないと評価が行いにくいことが明らかになった。応募時のR4年度計画に進むためには、各領域をより詳細に欠損させ、絞り込む必要が生じた。また、植物体におけるAFT遺伝子の発現組織・器官を明らかにするGUS遺伝子を活用した活性染色を行い、葉器官における特異的な発言パターン、さらに、その中でも維管束組織における特異的な発現パターンを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記で説明したが、2か所に分かれているDNA上の日長応答領域、それぞれの明確な応答配列同定を行う必要が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
酵母細胞系を活用した、発現調節領域結合タンパク質の検索を予定していたが、はじめに2か所の発現調節領域を解析するための実験から開始する。これには組換え体の作出およびアッセイに5か月ほどを要する。その後、酵母細胞系の実験に移行する。R4年度に予定していた作用タンパク質の組換え体作出はR5年度に開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
R3年度当初の人事異動で2業務併任となり、実験時間が減少した。また、遺伝子組換えによる解析個体の取得率が予想より低くなり、解析用試薬の使用が少なかった。 R4年度は酵母細胞を活用した発現調節遺伝子の網羅的解析と配列解析に使用する。
|