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2023 年度 実施状況報告書

植物のR遺伝子による病害虫抵抗性誘導のフェーズ移行を捉える

研究課題

研究課題/領域番号 21K05591
研究機関東北大学

研究代表者

宮下 脩平  東北大学, 農学研究科, 助教 (60556710)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードR遺伝子 / 抵抗性 / 細胞死 / 植物ウイルス
研究実績の概要

1)アグロインフェクションによる同期的抵抗性誘導系の構築
R遺伝子形質転換体N. benthamiana由来培養細胞を作製して、これをプロトプラスト化してウイルスを接種することにより、同期的な感染・抵抗性誘導系の確立を試みた。R遺伝子形質転換体N. benthamianaでHRによる細胞死を誘導する野生型CMVRNAを接種してみたところ、期待に反して細胞死が起きなかったためRタンパク質の蓄積量を調べたところ、植物体での蓄積量よりかなり低いことが明らかとなった。培養細胞作製当初は期待通りの発現量が見られていたことから、継代するにしたがって蓄積量が低下するようになってしまったものと考えられた。
2)ERダウングレードの検討
昨年度、dsRNAの外生投与により特定のR遺伝子によるER誘導をHR誘導にダウングレードできる可能性が明らかになった。今年度はシロイヌナズナのR遺伝子による誘導抵抗性を網羅的にダウングレードすることを目的として、R遺伝子に高い相同性でマッチするsRNA候補配列となる30塩基配列を4パターン抽出し、これを4回繰り返したdsRNAを合成するための系を確立した。これをシロイヌナズナに外生投与し、いくつかのR遺伝子について発現量を調べたところ、大きな変化が見られなかったことから、外生投与条件の検討が必要であることが明らかになった。そこでdsRNA導入効率を上昇させるペプチドの利用を検討し始めた。
3)ER誘導およびmircroHR誘導のCMV変異体
投稿論文にまとめて受理され、公開された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

期待に反した結果となった実験が多く、遅れていると言わざるを得ないが、改善すべき点も分かっていることから、「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

1)アグロインフェクションによる同期的抵抗性誘導系の構築
R遺伝子形質転換体N. benthamiana由来培養細胞を定期的に作製し、早い時期に実験に使用することを検討する。また、昨年度手をつけられなかったR遺伝子形質転換体N. benthamiana葉肉由来のプロトプラスト作製・ウイルス接種による同期的な感染・抵抗性誘導系の確立も試みる。
2)
dsRNA導入効率を上昇させるペプチドの利用によりR遺伝子による誘導抵抗性の網羅的ダウングレードを試みるほか、ペアNLR型R遺伝子によって共通に利用されているhelper NLRについてdsRNAを用いたノックダウンを行い、(網羅的ではないが)多数のR遺伝子による誘導抵抗性のダウングレードを試みる。

次年度使用額が生じた理由

進捗が遅れている結果としてRNA-seq解析を次年度に回したため、本年度の使用額が小さくなった。また、プロジェクト経費ではない経費(運営費交付金・寄付金等)を中心に本研究を遂行することができたこと、学会が地元開催で旅費が抑えられたことなどにより、RNA-seq以外の予定費目についても使用額が小さくなった。次年度ではRNA-seq解析や旅費などで助成金を使用する見込みである。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Ohio State University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Ohio State University
  • [雑誌論文] Intracellular bottlenecking permits no more than three tomato yellow leaf curl virus genomes to initiate replication in a single cell2023

    • 著者名/発表者名
      Ren Ruifan、Zheng Limin、Han Junping、Perdoncini Carvalho Camila、Miyashita Shuhei、Zhang Deyong、Qu Feng
    • 雑誌名

      PLOS Pathogens

      巻: 19 ページ: e1011365

    • DOI

      10.1371/journal.ppat.1011365

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Artificial coat protein variants of cucumber mosaic virus induce enhanced resistance upon recognition by an R gene2023

    • 著者名/発表者名
      Karino Gai、Abebe Derib Alemu、Saijo Yuki、Takahashi Hideki、Miyashita Shuhei
    • 雑誌名

      Journal of General Plant Pathology

      巻: 89 ページ: 277~287

    • DOI

      10.1007/s10327-023-01133-5

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Single-cell mutation rate of turnip crinkle virus (-)-strand replication intermediates2023

    • 著者名/発表者名
      Carvalho Camila Perdoncini、Han Junping、Khemsom Khwannarin、Ren Ruifan、Camargo Luis Eduardo Aranha、Miyashita Shuhei、Qu Feng
    • 雑誌名

      PLOS Pathogens

      巻: 19 ページ: e1011395

    • DOI

      10.1371/journal.ppat.1011395

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 活性酸素種および活性窒素種の状態が変化したタバコではキュウリモザイクウイルス黄斑系統[CMV(Y)]の全身移行と病徴発現が抑制される2024

    • 著者名/発表者名
      高橋英樹・佐々木渉太・高島圭介・金子俊郎・宮下脩平
    • 学会等名
      令和6年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] 活性酸素種および活性窒素種の状態が変化したタバコにおけるキュウリモザイクウイルスMOIの低下2024

    • 著者名/発表者名
      入野田和奏・佐々木渉太・高島圭介・金子俊郎・高橋英樹・宮下脩平
    • 学会等名
      令和6年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] 青枯病菌に感染するジャンボファージカクテルの病害抑制資材化に向けた検討2024

    • 著者名/発表者名
      宮下 脩平・Zeenat Niaz・阿部 香奈・高橋 英樹
    • 学会等名
      令和6年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] R遺伝子による陸上植物の抗ウイルス集団抵抗性2023

    • 著者名/発表者名
      宮下脩平・Derib Alemu Abebe・狩野 凱・Sietske van Bentum・鈴木万智・西條悠希・高橋英樹
    • 学会等名
      日本植物病理学会令和5年度植物感染生理談話会
    • 招待講演
  • [学会発表] 外被タンパク質のN末端13-aaペプチドを産生する人工改変RNA3によるキュウリモザイクウイルスの細胞間移行阻害2023

    • 著者名/発表者名
      大島慎也・高橋英樹・宮下脩平
    • 学会等名
      日本植物病理学会令和5年度植物感染生理談話会
  • [学会発表] キュウリモザイクウイルスは篩管を介した長距離移行後に1より非常に小さいMOIで細胞感染する2023

    • 著者名/発表者名
      木村空知・Winnie Zhou・高橋英樹・宮下脩平
    • 学会等名
      令和5年度日本植物病理学会東北部会
  • [学会発表] キュウリモザイクウイルスの2a複製タンパク質はトランスにリクルートされたRNA2の複製を許容する2023

    • 著者名/発表者名
      小内智塁・高橋英樹・宮下脩平
    • 学会等名
      令和5年度日本植物病理学会東北部会
  • [学会発表] 外被タンパク質のN末端13-aaペプチドを産生する人工改変RNA3によるキュウリモザイクウイルスの細胞間移行阻害2023

    • 著者名/発表者名
      大島慎也・高橋英樹・宮下脩平
    • 学会等名
      令和5年度日本植物病理学会東北部会
  • [学会発表] 立枯れ症状を示したトルコギキョウの植物体ならびに栽培土壌から分離されたFusarium属菌の多様性解析2023

    • 著者名/発表者名
      高橋英樹・金子俊郎・宮下脩平
    • 学会等名
      令和5年度日本植物病理学会東北部会
  • [学会発表] Ralstonia属細菌に感染するジャンボファージ属幅条件最適化の数理モデルを利用した検討2023

    • 著者名/発表者名
      宮下脩平・高橋英樹
    • 学会等名
      令和5年度日本植物病理学会東北部会
  • [学会発表] Diversification of viral ways of life explained by a simulation model for MOI evolution2023

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Miyashita, Hideki Takahashi
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] MOI of cucumber mosaic virus in cellular infections after phloem-mediated long-distance movements is much smaller than 12023

    • 著者名/発表者名
      Sorachi Kimura, Winnie Zhou, Hideki Takahashi, Shuhei Miyashita
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] Asymmetry in replication modes of the three genomic RNA segments of cucumber mosaic virus2023

    • 著者名/発表者名
      Satoru Onai, Hideki Takahashi, Shuhei Miyashita
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
  • [学会発表] 実験と数理モデリングを組み合わせた植物ウイルス研究2023

    • 著者名/発表者名
      宮下脩平
    • 学会等名
      第22回日本農学進歩賞受賞講演
    • 招待講演
  • [備考] 東北大学大学院農学研究科 植物病理学分野

    • URL

      https://www.agri.tohoku.ac.jp/ppathol/index.html

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公開日: 2024-12-25  

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