研究課題/領域番号 |
21K05616
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
細石 真吾 九州大学, 熱帯農学研究センター, 助教 (80571273)
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研究分担者 |
江口 克之 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30523419)
クロニン アダム 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30620489)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 広域分布種 |
研究実績の概要 |
アジア地域に広域に分布するアリ類のうち、シリアゲアリ属のCrematogaster rogenhoferi種群において、南アジアから東南アジアにかけて約25サンプルを所蔵標本から整理することができた。それらのサンプルについてミトコンドリアDNAの12S ribosomal RNAの約370bpを用いた解析を行った。その結果、いくつかの地理的集団に分けられた一方で、インドシナ半島において独立したクレードをもつ集団がいることが明らかになった。形態的には他の地理的集団とよく類似しており、隠蔽種であることが示唆された。僅かに体表面の彫刻状態が異なっているが、形態計測を用いたクラスター解析で明らかにすることが望ましいと思われる。まだmtDNAを用いた予備的な解析だけであるが、隠蔽種と思われる集団が広域分布種群の中から発見されたため、おおむね順調に進展していると思われる。他の広域分布種群であるトゲアリ属のPolyrhacis ilaudata種群やアシジロヒラフシアリのTechnomyrmex brunneus種群、オオハリアリのBrachyponera chinensis種群においても形態的に区別が難しい隠蔽種が含まれることが考えられ、今後の解析で明らかになっていくと思われる。後者のT. bruneus種群とB. chinensis種群は他種を駆逐する外来種であることが示唆されており、分布拡大ルートの特定が望まれる。日本国内においても九州本土および壱岐や対馬、五島列島などの離島でサンプリングを行い、解析サンプルを追加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アジア地域に広域に分布するアリ類のうち、シリアゲアリ属のCrematogaster rogenhoferi種群において、南アジアから東南アジアにかけて広範なサンプルを所蔵標本から整理することができた。それらのサンプルについてミトコンドリアDNA(mtDNA)の12S ribosomal RNAの約370bpを用いた解析を行った。その結果、いくつかの地理的集団に分けられ、インドシナ半島において独立したクレードをもつ集団がいることが明らかになった。まだmtDNAを用いた予備的な解析だけであるが、隠蔽種と思われる集団が広域分布種群の中から発見されたため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
広域分布アリ類である他の種群においても所蔵標本を整理してサンプル収集を行う。得られたサンプルのミトコンドリアDNA解析を行うとともに、次世代シーケンサーを用いたMIG-Seq法の解析も同時に進める。また、形態計測データを用いたクラスター解析を行い、隠蔽種を区別して認識する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、海外での野外調査が中止になった。2022年度以降は一部の国で野外調査を行なうことを予定しているため、その経費として計画している。また、整理したサンプルを一括してMIG-Seq解析を行うために、その経費として計画している。
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