研究課題/領域番号 |
21K05617
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
門 宏明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (30616412)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 分散型動原体 / カイコ |
研究実績の概要 |
本申請では、カイコ染色体の特徴(分散型動原体、および、反復配列とレトロトランスポゾンによるテロメア)を利用し、効率よく細胞内で維持可能な人工染色体の構築を目指す。細胞外から導入されたDNAが、細胞内に長期間維持されるには、効率の良いDNA複製と分配が必要である。そのためには、DNA複製起点、セントロメアと動原体タンパク質複合体、テロメアが必要なエレメントである。① DNA複製起点を含むDNA断片の単離、② 動原体タンパク質をBac DNA上に局在化させることによるDNA分配効率の向上を試みている。 本年度は、主にDNA上に動原体タンパク質複合体を局在化させる技術開発、および、カイコ細胞内で効率よく複製する複製起点を含むDNA断片の単離のための技術基盤の整備を行った。 動原体タンパク質をDNA上に局在化する方法として、申請時にLacO/LacIシステム、および、dCas9を使用したSunTagシステムを採用した。動原体タンパク質は、Cenp-TとCenp-Nをクローニングした。カイコCenp-Tは、ヒトを始めとする多生物のCenp-Tと比較してサイズが大きいため、動原体タンパク質をDNA上に局在化させるために最低限必要な領域を解析した。 また、既存のカイコBacライブラリーでは、細胞にDNAが導入されたかどうかを判別できないため、ベクター側にEGFP遺伝子を挿入し可視化できるように改変した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に予定していた実験系の構築において、いくつか変更が生じたため、計画よりは進捗が遅れている。当初は、LacO/LacIを採用したが、LacOリピートのみでかなりのサイズになってしまうので、より短い配列に十分量の動原体タンパク質を局在化できるSunTagシステムに切り替えた。また、使用する動原体遺伝子の使用ドメインの絞り込みのための機能解析を行ったため、当初の見込みよりも時間を要しが、来年度から行う実験のための技術面の開発は達成できた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続きカイコBacライブラリーの構築を行う。可視化可能なカイコBacライブラリーを細胞に導入し、DNA複製効率が高いゲノム断片の単離を行う。同時に、動原体タンパク質をSuntagシステムを用いて、DNA上に異所局在させ、目的の動原体タンパク質がDNA上に誘導されているかを確認する。
|