研究課題/領域番号 |
21K05624
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高橋 伸弥 福岡大学, 工学部, 教授 (40330899)
|
研究分担者 |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 准教授 (20330897)
鶴田 直之 福岡大学, 工学部, 教授 (60227478)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ミツバチ / 動物行動学 / 行動追跡 / 深層学習 / トラッキング |
研究実績の概要 |
2021年度に実施した研究に関する実績は、大きく次の3つである。 ①教師なし深層表現学習により得られた画像特徴のクラスタリング手法の精度向上に関する検討、②教師あり深層学習を用いた物体検出手法によるミツバチ 追跡手法の検討、③ARタグによるミツバチ歩行軌跡検出アプリの開発およびミツバチ行動解析のための画像処理ツールの開発 ①では、これまでに提案した段階的畳み込み自己符号化器に対して交差検証を行って、その性能評価を行なった。さらに内部のノード数や層の数を変更して実験を行い、最適なハイパーパラメータの検討を行なった。次に②では、物体検出手法の1つであるSigle Shot Multibox Detectorを用いてミツバチ個体検出を試みた。ここでは事前に目視で確認したミツバチ個体領域を手動で切り出して学習のための正解事例を用意し、教師あり学習を行なった。この手間を削減するための教師なし学習手法を確立することが、本研究課題の目的の1つであるため、そのベースラインとしての評価値を得ることができたと言える。最後に③では、ARタグを用いて個体検出をするアプリの開発ならびに行動解析のための画像処理ツールの開発を行った。前者は背中にARタグをつけたミツバチをスマートホン等のカメラデバイスで撮影すると、ARタグを検出して、そのミツバチの個体番号を表示するとともに、体軸の向き、歩行軌跡を同時に表示するアプリとなっている。現時点ではPC上で動作するプロトタイプが完成している。後者は、観察対象の動画を表示しているパソコンの画面上で対象個体をクリックすることでその個体の追跡を開始し、その歩行軌跡を記録するというものである。実際に利用してもらった結果、行動解析のための作業時間を大幅に短縮することができることが示された。以上の研究業績に関しては、2022年度以降に研究発表を行う予定としている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習に用いる機器の調達が間に合わなかったことなどから、当初予定としていた実験計画よりも若干遅れているが、他は問題なく順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、①段階的畳み込み自己符号化器の評価をまとめ、国際会議ほかに発表・投稿する予定である。また②既存の物体検出手法による個体検出実験の結果については、すでに国際会議への論文投稿済みであり10月に発表予定としている。③行動解析のための各種ツールについても、それぞれ使いやすいように整理し、公開できるように準備する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
全世界的な新型コロナウィルスの蔓延の影響により半導体を始め多くの機器の入手が難しくなっており、当初購入を予定していた機器学習用高性能コンピュータの購入を見送ったことから、大幅な残金が生じてしまっているが、2022年度には使用予定としている。
|