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2021 年度 実施状況報告書

群生相化したサバクトビバッタの過酷な砂漠に対する適応戦略の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05627
研究機関国立研究開発法人国際農林水産業研究センター

研究代表者

前野 浩太郎  国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (70600112)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードサバクトビバッタ / 相変異 / 体温調節 / 交尾行動 / 繁殖
研究実績の概要

越境性害虫サバクトビバッタは混み合いに反応し、行動、生理、形態学的特徴を変化させる相変異をしめす。生息地のサハラ砂漠は極端な熱や乾燥ストレスにさらされる過酷な環境である。その環境下で本種がいかにして生き延び、大発生に至っているのかその適応戦略はほとんどわかっていない。相変異に着目し、群生相化がいかに砂漠環境に適応するのに役立っているのかその生態学的意義を探ることが本課題の目的である。本年度は、群生相化した幼虫における体温調節行動と成虫における繁殖に関する行動と生理的メカニズムについて調査および解析を行った。その結果、幼虫は、致死的な高温時、行動や姿勢を変えることで約40℃の体温を保つことがわかった。集団移動する幼虫の胃は食物で満たされていた。高温のほうが消化速度を速めることから、砂漠の高温を巧みに利用することで、群生相幼虫は効率よく採餌および消化をし、発育を促進していることが考えられた。
群生相化した成虫の繁殖行動に関するデータを解析したところ、雌雄が別居し、集団が雌雄いずれかの性に偏った集団を形成することがわかった。産卵直前のメス成虫がオスの集団に飛来し、交尾した後、夜間、集団産卵する傾向があることがわかった。
群生相成虫は孤独相成虫に比べ、大型の卵を生産する。飼育実験のデータを解析したところ、集団飼育したメス成虫は、卵吸収する卵巣小管数の数を増やし、かつ、産卵間隔を延ばし卵母細胞の発達する期間を長くすることで、大きい卵を少なく産んでいることを示唆する結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型感染症の影響を受け、アフリカ出張を見合わせたため。

今後の研究の推進方策

新型感染症の影響が小さくなった場合、アフリカ出張を実施する。外国の研究機関での室内飼育実験を行うことで、より詳細な実験を行うことで、サバクトビバッタの生態学的特徴に関する解明を進める。

次年度使用額が生じた理由

新型感染症のため、外国出張を見合わせたため。アフリカに出張し、飼育試験および実験を行う

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センター(モーリタニア)

    • 国名
      モーリタニア
    • 外国機関名
      モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センター
  • [国際共同研究] フランス農業開発研究国際協力センター(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      フランス農業開発研究国際協力センター
  • [国際共同研究] モロッコ国立サバクトビバッタ防除センター(モロッコ)

    • 国名
      モロッコ
    • 外国機関名
      モロッコ国立サバクトビバッタ防除センター
  • [国際共同研究] メルボルン大学(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      メルボルン大学
  • [雑誌論文] Allocation of more reproductive resource to egg size rather than clutch size of gregarious desert locust (Schistocerca gregaria) through increasing oogenesis period and oosorption rate2022

    • 著者名/発表者名
      Maeno, K.O, Piou, C. and Ghaout, S.
    • 雑誌名

      Journal of Insect Physiology

      巻: 132 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1016/j.jinsphys.2021.104331

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] A general model of the thermal constraints on the world’s most destructive locust, Schistocerca gregaria2021

    • 著者名/発表者名
      Maeno, K.O., Piou, C., Kearney, M.R, Ely, S.O., Mohamed, S.O., Jaavar, M.E.H., and Ould Babah Ebbe, M.A.
    • 雑誌名

      Ecological Applications

      巻: 31 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1002/eap.2310

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Density-dependent mating behaviours reduce male mating harassment in locusts2021

    • 著者名/発表者名
      Maeno, K.O., Piou, C., Ely, S.O., Mohamed, S.O., Jaavar, M.E.H., Ghaout, S. and Ould Babah Ebbe, M.A.,
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America

      巻: 118 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1073/pnas.2104673118

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] サバクトビバッタに関する問題とその対策2022

    • 著者名/発表者名
      前野浩太郎
    • 学会等名
      第66回日本応用動物昆虫学会
  • [学会発表] Field research for understanding behavioral patterns of the desert locusts in Mauritania2022

    • 著者名/発表者名
      Maeno, K.O., Jaavar, M.E.H., and Ould Babah Ebbe, M.A.
    • 学会等名
      24TH MEETING AND SCIENTIFIC CONFERENCE OF THE AFRICAN ASSOCIATION OF INSECT SCIENTISTS (AAIS)
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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