研究課題
基盤研究(C)
本研究では,核型分析技術を活用した細胞学的特徴に基づく系統識別により,日本に分布するセイヨウタンポポの多様性を把握し,その起源を明らかにすることを目的として詳細な染色体観察を行った。観察・分析の結果,日本に産するセイヨウタンポポ三倍体に,体細胞性の染色体突然変異によって生じたと強く推定される新規の核型が初めて確認されたことから,無融合種子形成を行うセイヨウタンポポでは,体細胞性の構造変化が核型の多様化に関与していると判断された。
植物細胞分類学
染色体の観察・分析を通じた植物の種分化と分類,生殖法に焦点を当てた細胞分類学的研究と,それらの成果の発信・共有により, SDGsが目指す生物多様性の保護(維持)保全への貢献と共に,自然史研究の意義の周知啓発も期待できる。また本研究の発展として,高等植物がどのように種分化(多様化)を成し遂げているかの解明により,特殊な遺伝様式や表現形質が有用植物(特に農作物)の育種への応用等の進展も見込まれる。