研究課題/領域番号 |
21K05642
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
池田 香代子 (福森香代子) 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 特別研究員 (00644535)
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研究分担者 |
今藤 夏子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (10414369)
角谷 拓 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 室長 (40451843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタバーコーディング / 水生植物 / 埋土種子 / 環境DNA / 淡水 |
研究実績の概要 |
水生植物の多くは、近年の河川や湖沼の環境悪化により絶滅の危機に瀕しており、ため池、湿地、放棄水田などは貴重な生育場所となっている。これまで、植物の種多様性評価や保全地選択の多くで地上個体群の分布が使われてきた。しかし、水生植物は埋土種子(土壌中に含まれる種子)を作り、環境に応じて数年間休眠することがあるため、一時的な地上植生の観察だけでは地下に埋土種子として存在している個体群を見落とす可能性がある。本研究は、淡水の堆積物中に存在する水生植物種の埋土種子の種多様性をDNAメタバーコーディングにより判別し、地上植生との種多様性の違いを明らかにすることを目的とする。また、堆積物中に埋土種子として存在するが地上植生として出現していない水生植物種の生育形の特徴および、それらと環境要因との関係を解析する。さらに、得られた結果から、埋土種子の生育可能性を考慮した水生植物の保全優先地選択を行い、在来種を効果的に保全するための対策を提示する。 今年度は、主に予備調査と実験条件の検討を進めた。抽水植物や沈水植物などが生育している複数の実験池において、堆積物試料と環境水試料から検出される水生植物の種多様性を評価するためのサンプリングを行った。堆積物と環境水から得られたDNAについて、葉緑体rbcL領域とtrnL領域の2領域を用いてDNAメタバーコーディングを実施した。葉緑体rbcL領域の結果を解析したところ、同じ地点の堆積物と環境水から検出された水生植物の属名は、概ね一致していた。一方で、いくつかの地点では、堆積物試料のみで検出された属および、環境水試料のみで検出された属が見られた。調査地全体で検出された属数は、環境水試料よりも堆積物試料の方が多かった。これより、堆積物中には、埋土種子、あるいは過去に堆積された植物片として残存している種がいる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、予備調査や実験条件の検討などを進めることができた。堆積物と環境水のメタバーコーディングについては、複数の実験池で試料の採取を行った。堆積物試料については、いくつかの実験条件を検討し、試料からDNA抽出をする環境を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、関東平野における複数の耕作放棄水田や湿地においてサンプリングを行い、各調査地点における水生植物の多様性を評価するために以下の3つの計画を実施する予定である。 1)関東の代表的な耕作放棄水田や湿地において、各地点における水生植物の種多様性を満遍なく拾うために必要な試料数を検討する。 2)関東平野における複数の耕作放棄水田で野外調査を実施し、水生植物の多様性を堆積物試料と環境水試料の両方から評価する。 3)予備解析で、水生植物の葉緑体rbcL領域とtrnL領域において参照するDNA塩基配列データベースが不足していることが確認されたため、調査時に植物体を採取してDNAを抽出し、塩基配列データベースを蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大のために野外調査や実験の実施にやや支障があったため、いくつかの実験消耗品の購入を次年度に見送った。令和4年度は、メタバーコーディング解析に使用する次世代シーケンサーの試薬購入や野外調査へ行くための旅費として助成金を使用する予定である。
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