研究課題/領域番号 |
21K05651
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木下 剛 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (30282453)
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研究分担者 |
霜田 亮祐 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (00758914)
竹内 智子 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (30892426)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 河川 / 都市公園 / 緩傾斜護岸 / 親水空間 / 流速 / 水位変動 / iRIC / 洪水調整 |
研究実績の概要 |
河川と都市公園を一体化する設計手法と制度の運用手法、河川と公園の利用概況ならびに管理状況に関する先行事例二箇所の現地調査を行った。荒川水系柳瀬川と清瀬金山緑地公園(東京都清瀬市)および清瀬金山調節池(東京都清瀬市)と、荒川水系石神井川と都市計画練馬城址公園(東京都練馬区)である。 柳瀬川と清瀬金山緑地公園は、緩傾斜の土羽護岸(法肩まで河川区域)を介して河原と公園を自由に行き来でき、親水性の高い公共空間を実現している。バーベキューや釣りができる河原へは公園を通ってアクセスするようになっており、水道やトイレ、駐車場等を完備した公園との一体的なアクティビティを可能としている。このような空間を成立させている最大の要因は緩傾斜の土羽護岸であるが、土羽仕上げが可能であるのは、蛇行州に位置する土羽護岸周辺では増水時も土手の浸食が発生しない流速であるからと推察された。 また、石神井川が貫流する旧豊島園の跡地に計画されている練馬城址公園(未供用)において、柳瀬川と清瀬金山緑地公園のような緩傾斜護岸をつくれるかどうか設計スタディを行った。その結果、現行河川区域だけでは河幅が狭すぎて、柳瀬川のような緩傾斜護岸は不可能であるが、練馬城址公園(都市公園区域)も活用すれば緩傾斜護岸は実現可能である。この場合、都市公園区域に河川区域を重ねたり兼用工作物としたりする必要があるが、そのような前例はある。残る課題は緩傾斜護岸とした場合の安全性であるが、これについては河川の流れ・河床変動解析ソフトウェアiRICのNays2Dソルバーを用いて流速、水位変動の解析を行うとともに、EvaTRiPを用いて河道の安定性等の解析を行った。その結果、最大流量時に土羽仕上げも可能な(生物多様性に配慮した護岸・高水敷のデザインの幅も広がる)、かなり自由度をもった護岸ラインの設定が可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスの感染拡大が長期化し、初年度(令和3年度)に予定していた日本国内の調査が十分に行えなかったため、予定どおり進捗しているとはいえない。その一方、令和4年度に実施予定だった公園の氾濫原化シミュレーションの一部を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に実施できなかった現地調査(熊本県と青森県を予定)を行う。また令和3年度に実施した現地調査についても、洪水時の流量や流速計算を補足する。加えて、令和4年度に実施予定である、氾濫原化シミュレーション、特に洪水調整機能の検証や利用ニーズの推定、管理手法について、東京都内の河川と都市公園を対象として調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの感染拡大が長期化し、初年度(令和3年度)に予定していた日本国内の調査が十分に行えなかったためである。次年度使用額については、令和3年度に実施できなかった現地調査(熊本県と青森県を予定)を行うほか、令和3年度に実施した現地調査についても、洪水時の流量や流速計算を補足するために使用する。
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