研究課題/領域番号 |
21K05652
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
朝廣 和夫 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30284582)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 屋敷地林 / タイポロジー / 樹種構成 / Teknaf / Bangladesh |
研究実績の概要 |
2022年度は、Bangabandhu Sheikh Mujibur Rahman Agricultural University (以下、BSMRAU) のDr. Md. Abiar Rahman、および、現地で雇用した調査員の協力を得て、屋敷地林におけるインタビュー調査を実施した。現地調査員は、2022年6月から雇用を開始し、調査準備を行った。研究代表者は8月17日~28日の期間、Bangladeshに入り、Teknafに7日間滞在し、約30か所の世帯調査を実施、また、BSMRAUを訪問し、研究打ち合わせを実施した。調査員はその後も調査を継続し、149か所の調査を完了した。当初は、200世帯を想定したが、ベースデータと比較したところ既に引っ越しなどをし不在の世帯が複数あり、減少することになった。 調査データは、現地調査員により打込み作業を実施、完了している。研究代表者の方で、植栽樹種、屋敷地林面積を用い、類型区分を進めた。現在のところ、効果的な区分類型を見出すことができた。主な共通種としては、一般的なマンゴー、ジャックフルーツ、ビンロウジュが主であった。現地調査を含め、その種構成の違いには、いくつかの要因があることが伺われた。主な傾向として、伝統的な多様な樹種を植栽する世帯、ビンロウジュを中心に植栽する世帯、そして、土地活用を行う世帯があり、世代間、人口増加、ロヒンギャキャンプの影響などによる差異が確認された。 今後、面積区分別に樹種構成区分が異なることから、代表的な屋敷地林を特定し、2023年度は、屋敷地林の平面構成、3D点群データの取得、さらに詳細なヒアリング調査を実施する。これらの結果を合わせて、テクナフ半島における屋敷地林の代表的な形態区分と社会的な関係性について取りまとめる予定である。 なお、本年度の成果は、日本造園学会九州支部大会において発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BangladeshのTeknaf半島における屋敷地林のフィールド調査は、感染症、現地のセキュリティ、受入れ地域の状況、さらに、調査員の雇用の可否が不安要因として考えられていた。2022年度に入り、ワクチン接種により両国において海外渡航が可能となり、実施することができた。これは、現地の大学関係者、調査員の協力、および、現地調査がなされたことによるところが多い。一方で、インフレによる旅費の高騰により、調査員への支払い、飛行機を含む移動費用が想定よりも高額となり、計画していた、複数大学との連携、現地の学生の参加、日本からの学生の参加などを減らさざるを得ず、調査の人員を3名に限り、実施した。 データの入力、統計分析などにおいて、概ね、良好な結果が得られており、若干、分析が遅れ気味であるが、継続して進捗させる。現地調査においては、様々な生活の実情に触れることができ、屋敷地林の多様な利用形態、価値感を実感でき、充実した調査が展開できている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度であり、最後の現地調査を8月に実施予定である。その準備として、屋敷地林の各タイプを代表する世帯をデータから抽出し、2週間程度の調査計画を立て実施する予定である。また、現地調査員を雇用し、フォローアップ調査も検討する。分析においては、社会的データの統計分析を進め、より、詳細な、屋敷地林との関係を整理するとともに、現地において調査する空間情報を用い、CADを用いた平面図の作成、モデリングを行い、ビジュアルとして、屋敷地林のタイプの差異が分かるようにデータの作成を行う予定である。 成果の発表については、屋敷地林の分類および社会的データとの関係について、学会への発表を進める。
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