研究課題/領域番号 |
21K05659
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
温井 亨 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50271606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 酒田 / 水帳 / 町絵図 / 村田 / 都市建築 |
研究実績の概要 |
2023年度は、9月に行われた日本建築学会全国大会学術講演において「水帳と水帳絵図を用いた近世都市の敷地変遷に関する研究 その1:湊町酒田給人町における享保16年から文化13年まで」を発表し、同梗概集に掲載刊行された。引き続き、幕末までの研究を進め、その結果は2024年8月に行われる日本建築学会全国大会学術講演で発表し、同梗概集に掲載される予定である。これらの研究は、研究目的で述べている酒田のハンザキヤの実態を明らかにしようというものであるが、市内給人町における全戸の1年ごとの変遷を明らかにできた。その結果、江戸時代享保(元禄)年間以降の酒田の住まいを都市建築として見た時、住環境改善の動きはあるものの全体としてみれば決して良いものではないことが分かった。 また、宮城県村田町の町家研究はほぼ論文としてまとまってきており、本年7月に日本造園学会オンライン論文として投稿予定である。こちらでは全てではないが上層部の町家において優れた住環境が実現されており、東日本の町家を都市建築として見た時、1つの典型、優れた事例と考えられること、さらには、そのためのルールが今なお生きていることを確認できた。酒田が当初の敷地割りが分割され、住環境の悪化を来したのに対し、村田では当初間口が狭く住環境に問題があったものが、隣地の買収により優れた住環境を獲得してきたことが確認され、両者は反対の歴史的経緯をたどっていて興味深い。 2023年に行った新潟県佐渡の宿根木集落の調査に、本年度調査予定の愛知県南知多町の日間賀島、篠島の漁村集落調査、山形県庄内の漁村調査を加え、これを論文にまとめたい。ここでは都市建築の条件としていた庭の存在が見られず、そうした集落での暮らしを評価することとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の流行により令和3年度に調査できず、令和4年度も晩秋になりようやく調査したというのが遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
酒田と村田の研究成果は今年度発表、投稿できる。もし次年度の延長が可能なら、酒田に関する研究の続き、また本年度調査する漁村調査の結果を発表、または投稿したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行により、令和3年度の調査ができず、令和4年度も晩秋になりようやく調査が行なえたが、その後冬になってしまった。その結果、次年度使用が生じた。今年度はまず漁村調査に残額を使い、さらに残れば、酒田の町家の類似事例として、北上して秋田の町家、また東北では異質の西日本型の町家と考えられる村上、盛岡方面の町家再調査、あるいは東北の町家研究者との意見交換(場合によっては酒田に招いてのシンポジウム開催、そのための旅費)をするために使いたい。
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