研究課題/領域番号 |
21K05684
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岩井 紀子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50630638)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生活史の進化 / 数理モデル / 変態 |
研究実績の概要 |
本研究は、保全対象となることが多く、水陸両生態系を利用する森林性両生類を対象とし、水域から陸域への波及効果の大きさを解明する。適応度形質である対象種の成熟サイズの決定において、水域環境と陸域環境が与える影響の比較を、飼育実験と野外調査の両面から行う。飼育実験では、変態後の成長速度と成熟サイズに与える影響について、異なる陸域環境条件下で比較する。野外調査では、野外個体の骨に現れる成長履歴の解析を行う。成熟サイズの決定要因のうち、水域、陸域生態系が与える影響の大きさを比較し、どちらを保全することが効果的なのかを明らかにする。 初年度は、代表者の産休・育休に伴い、4月から7月まで3か月の休業期間を持った。この期間は両生類の繁殖期に重なっていたため、初年度に予定していた飼育実験は開始を1年遅らせることとなった。その代わりに、これまでに得られていた飼育実験の結果を用い、変態戦略を説明する数理モデルの構築を行った。変態後1年目の冬までの成長率と生存率を変数として盛り込んだフィットネス式を作成し、幼生期の成長曲線に基づいて最適な変態点を求めた。推定された最適変態点と実際の変態点とのずれが最も小さくなるようなパラメータ値を、遺伝的アルゴリズムを用いて特定した。これにより、水域と陸域の環境条件が、各環境の成長率、生存率を介して変態点の決定に影響を与えるメカニズムを、数理モデルによって明示できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の産休・育休により、3か月の休業期間を持ったことから、飼育実験の開始が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
変態戦略を説明するモデルを拡充し、波及効果を反映させる項目を追加していく。陸域における変数の根拠とするため、変態後の成長速度と、変態サイズがその成長速度に与える影響を明らかにする飼育実験を開始したところであり、成熟まで飼育を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者の産休・育休に伴い、休業期間があったため、予定していた飼育実験を行わず、代わりにこれまでに得られていたデータを用いたため、使用額がなくなった。休業に伴い、研究期間を延長する予定のため、今後計画通りに使用していく予定である。
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