研究課題/領域番号 |
21K05686
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
米 康充 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (30467716)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 災害に強い森林 / 森林リモートセンシング / 風況シミュレータ / UAV / 森林整備 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
1~2年目においては、台風の風倒被害を受けた地域の森林の樹種分類、林分構造、立地環境、倒壊の有無の地理情報データの整備を、風倒害直後のUAV、風倒害前後の衛星写真、風倒害前の航空写真、国土地理院DEM等のリモートセンシングとGISを用いて深層学習を用いながら実施した。一方2年目の終了時には、台風通過時に実際にどのような風が林分に吹き付けたのかを明らかにするため、複雑山岳地形上の風況の予測を可能とする数値流体力学Large Eddy Simulation (LES)を利用した風況シミュレータソフトを入手した。3年目には対象地域のDEMデータを整備し、風況シミュレータソフトを用いて50mグリッドでの地上からの高さ別風速、風向の解析を行った。この結果から、対象地域全体で南~南南西の風が卓越する場合、倒被害林分には相対的に風速が高く下から上へ向けての風が吹きつけていたことがわかった。しかしながら、同様の風が吹きつけていたと考えられる場所でも風倒被害が発生していなかった場所もあった。これが、林分構造の違いによるものなのか、風の吹き方のメカニズムによるものなのかは判明しなかった。この点については、時刻毎の風速や向き、立木を揺らす周波数のデータを整備し、風倒被害と風況の関係についての定量的解析を進める一方、リモートセンシングデータから推定した林分構造データを基に、風倒の原因を明らかにする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1~2年目にかけて、研究の中核である風況シミュレータソフトの入手ができなかったが、2年目終盤に入手可能となり進捗が遅れたものの本格的な解析に入ることができた。3年目には風況シミュレータソフトを用いて風況の解析を進めることができたが、ソフト利用方法と流体力学や風況シミュレーションそのものの学習に時間を費やした。以上のことから、1年半程度の遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究テーマ①「台風被害状況の把握と風倒原因の解明」においては、台風通過時のメソスケールでの時刻別風況から推定した、微地形での最大風速や方向、揺れの周波数を用いて、風倒木被害林分における風の特性を定量的に解析を行う。 研究テーマ②「林分スケールでの台風リスク評価と立地環境データの整備」においては①における風倒木被害林分における風の特性と同様の立地を抽出し、被害の有無と林分構造の関係の解析を行う。 研究テーマ③「森林整備計画の立案」においては、②で判明した林分構造や過去の台風の通過パターンから、風倒リスクの分布を推定しそれに応じた森林整備の立案を進めたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
究の中核となる風況シミュレータの入手が遅れたため、研究全体の進捗も遅れている状況である。最終年度は、遅れを取り戻し研究を完成させていきたい。
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