研究課題/領域番号 |
21K05687
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
楠本 聞太郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (90748104)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生息適地モデリング / デモグラフィー / 環境ニッチ / 森林動態 |
研究実績の概要 |
昨年度に踏査を行った調査候補地(沖縄県、福岡県、宮崎県、北海道)の内、沖縄県沖縄島北部の亜熱帯性常緑広葉樹林に設置された森林動態モニタリングプロットにおいて、樹木の動態パラメータ取得のための現地調査を行った。同調査地の過去20年分の毎木調査データを分析し、樹種ごとの成長率と死亡率を推定した。
樹木の繁殖特性と環境ニッチの関係性を、在来種と外来種で比較するために、福岡県の九州大学農学部附属演習林(福岡演習林)において、外国産樹種(ヌマスギ、Taxodium distichum)の種子散布・天然更新の状況を調査した。植栽地点の周辺約2㎞の範囲に渡って、実生の空間分布を調査した。このデータは、在来種と外来種間の環境ニッチの比較分析に用いる予定である。
ミレニアムシードバンク(王立キュー植物園)の協力研究者と面談し、樹種ごとの種子の発芽特性情報の収集について、既存データの利用、追加情報の収集戦略について相談するとともに、将来的な国際共同研究テーマについて検討した。具体的には、本研究で得られる樹種ごとの環境ニッチ、繁殖特性、デモグラフィー特性の情報を統合的に用いることで、効率的かつ効果的な森林復元手法の開発に関する研究を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
亜熱帯性の主要な樹種について、環境ニッチとの比較分析に用いることのできるデモグラフィー特性を抽出できた。また、外来種の更新データを取得することで、環境ニッチの大きく異なる種間での繁殖・デモグラフィー特性の比較が可能になった。繁殖特性およびデモグラフィー特性を考慮したモデリング・アプローチについては、引き続き検討を続けている。以上のことから、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、温帯性の樹種についてのデモグラフィー情報を得るために、福岡県(九州大学農学部附属演習林福岡演習林)の動態モニタリングプロットにおいて毎木調査を行い、樹種ごとのデモグラフィーパラメータ(死亡率、成長率)を推定する。補足する樹種数を増やすために、宮崎県(椎葉村)と北海道(足寄町)の動態モニタリングデータの利用も検討する。福岡県で採集可能な種にについては、種子の採集と発芽実験を行い、繁殖特性(種子散布、発芽に関する特性)の測定を行う。前年度に検討した種分布モデルによって環境ニッチを推定し、繁殖特性とデモグラフィー特性との関係を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、2年間でフィールド調査を終える予定であったが、初年度にコロナ禍による行動制限のために、フィールド調査が後ろ倒しになった。最終年度のフィールド調査費用を確保するために、次年度使用額が生じた。
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