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2023 年度 実施状況報告書

沖縄島北部の森林で生じた渡らない生活史は鳥類にどんな地域固有性をもたらしたか?

研究課題

研究課題/領域番号 21K05696
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

関 伸一  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50343801)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード琉球列島 / 鳥類 / 渡り / 沖縄島 / アカヒゲ種群
研究実績の概要

巣箱における繁殖経過の簡易自動記録装システムを用いて奄美大島におけるアカヒゲ種群の繁殖生態調査を実施したが、沖縄島と同一形状の巣箱では鳥類による利用率が低く、繁殖初期の捕食による繁殖の失敗率が非常に高いことが明らかとなり、琉球列島の中の近隣島嶼群の間でも繁殖環境に大きな違いがあることが明らかになった。アカヒゲ種群だけでなくカラ類による利用も低頻度、低成功率だったことから、森林に多く生息する地域固有種で小型鳥類の卵や雛の捕食者ともなるルリカケスが巣箱利用率に影響している可能性があると推測し、次年度に向けて巣箱の形状の変更を行った。繁殖経過の記録システムでは設置数の80%で3ヶ月前後の記録が得られたが、20%は早い段階で停止し、梅雨前後の降水量が多い奄美大島では巣箱内の湿度の影響で故障したと推測された。鳥類が利用中の巣箱は特に湿度が高くなりやすく、故障してデータの得られない例が複数あったことから、防湿処理は改善する必要がある。奄美大島、トカラ列島などで遺伝子試料の収集、形態記録を行うとともに、マイクロサテライトマーカーを用いた集団構造の解析を進めた。これまでの解析では、ミトコンドリアDNAに基づく過去の報告と類似の構造が確認され、島嶼群によって集団が遺伝的に細かく分化していることがマイクロサテライト遺伝子座に基づく核DNAの情報からも支持された。遺伝的集団構造に関する結果の一部を取りまとめて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

繁殖情報を収集するための巣箱や簡易自動記録システムはおおむね計画どおりに作動し、野外での調査データが得られ始めている。集団間の遺伝的分化を明らか にするための遺伝子マーカーの特定も計画どおりに進み、試料の分析もおおむね計画どおりに進行している。一方で、今年度予定した離島で公共交通機関の不通となる事故が発生し、野外での繁殖生態の調査には部分的な計画の遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

引き続き巣箱と自動記録装置を用いた繁殖経過の記録システムによりアカヒゲ種群の繁殖生態の地域間変異を調査するとともに、地域ごとの遺伝子試料の収集、形態記録、マイクロサテライトマーカーを用いた集団構造の解析を行い、成果を取りまとめる。複数の要因により離島への出張をともなう野外調査は計画よりは遅れ気味であり、繁殖生態の調査の一部について研究計画の見直しを行う必要が生じている。

次年度使用額が生じた理由

野外調査を計画していた一部の離島で公共交通機関の不通事故が発生し、調査旅費を中心に次年度使用が生じた。今年度は延期した野外調査のための旅費として主に使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Fine-Scale Nuclear Genetic Structuring within the Ryukyu Robin, a Species Complex Endemic to the Ryukyu Archipelago2023

    • 著者名/発表者名
      Seki Shin-Ichi
    • 雑誌名

      Ornithological Science

      巻: 22 ページ: 137~150

    • DOI

      10.2326/osj.22.137

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genetic structure of the Japanese Robin (<i>Larvivora akahige</i>) endemic to East Asian islands2023

    • 著者名/発表者名
      Seki Shin‐Ichi
    • 雑誌名

      Ibis

      巻: 165 ページ: 875~889

    • DOI

      10.1111/ibi.13197

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 沖縄島の亜熱帯照葉樹林におけるヤマガラの繁殖生態2023

    • 著者名/発表者名
      関 伸一
    • 雑誌名

      Bird Research

      巻: 19 ページ: A51~A61

    • DOI

      10.11211/birdresearch.19.A51

    • 査読あり
  • [学会発表] 巣箱カメラの今どき事情2023

    • 著者名/発表者名
      関伸一
    • 学会等名
      日本鳥学会2023年度大会

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公開日: 2024-12-25  

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