研究課題/領域番号 |
21K05698
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研究機関 | 飛島建設株式会社技術研究所 |
研究代表者 |
村田 拓海 飛島建設株式会社技術研究所, -, 研究員 (40829959)
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研究分担者 |
沼田 淳紀 飛島建設株式会社技術研究所, -, 主席研究員 (10443649)
北原 文章 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50582748)
宮島 昌克 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (70143881) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 丸太 / 地盤の鉛直変位 |
研究実績の概要 |
2021年度は,丸太打設による地盤の盛り上がり特性を解明するために,模型実験と現場実証実験を実施した.得られた主要な知見は以下のとおりである. (1)模型丸太を用いた地盤への貫入模型実験:実施工で用いられる丸太の10分の1の寸法の模型丸太を,剛土槽内に作成した模型地盤に貫入し,その貫入前後の地盤表面の高さを比較した.ここで,模型丸太の貫入は実施工と同様に,無排土であけた孔に模型丸太を静的に圧入した.孔は,直径が模型丸太よりも細い先端閉塞の鋼管を回転させながら圧入し,模型丸太の先端となる位置に到達してから回転させながら引き抜くことで作製した.その結果,丸太貫入前の地盤の相対密度が50~60%程度より大きい場合は地盤に盛り上がりが生じるが,小さい場合は沈下が生じることが明らかになった.また,丸太貫入により生じる地盤の盛り上がり量,および,沈下の量は同じ範囲に打設した丸太の数量が多いほど大きくなる傾向が認められた. (2)実施工における丸太打設による地盤の盛り上がり量の定量評価:丸太を打設する実施工現場2地点において,(1)の模型実験と同様に丸太打設前後の地盤表面の高さを計測し,両者を比較した.その結果,いずれの現場においても丸太を打設することで地盤に盛り上がり,および,沈下が生じることが確認された.また,丸太打設による地盤の盛り上がりや沈下の傾向,および,鉛直変位の変化率は,(1)の模型実験で得られたものとほぼ一致することが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染予防の観点から,当初予定していたB材およびC材の実態調査を実施することができなかった.一方で,丸太打設による地盤の盛り上がり特性について,模型実験と現場実証実験の結果がほぼ一致することが明らかになったことから,当初2022年度に予定していた丸太打設による地盤の押さえつけ効果のメカニズム解明に目途を立てることができた.これらのことから,研究計画全体としては概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降は,下記の研究に取り組む計画である. (1)丸太のテーパーが液状化抑制効果に与える影響の解明:2021年度に実施した模型丸太を用いた地盤への貫入実験について,テーパー角の異なる模型丸太を用いた実験を追加し,丸太のテーパーによる地盤の押さえつけメカニズムを解明する.また,過去に丸太を打設した実施工における地盤調査データを再整理し,丸太打設による密度増大効果を定量的に解明する. (2)丸太の節・継ぎ形態が鉛直支持力に与える影響の解明:丸太の節の量,継ぎの形態,継ぎの数を変えた丸太を実地盤に打設し,それらに対して押込み試験を実施する. (3)B材およびC材の実態調査:幹材積式の基となったデータからB材およびC材となるようなデータを抽出し,それに基づいてテーパー角推定式を構築する.また,全国各地で,B材およびC材となる木材の寸法(末口直径,節の量,長さ,テーパー角)の実態調査を行い,その中から,地盤災害軽減策で使用可能な径を抽出し,供給可能量を調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は,貫入模型実験に用いる丸太模型や,現場実証実験での地盤の高さ計測に用いる電子レベルの購入のための物品費が必要であったが,いずれも科研費の採択を受ける前に研究代表者の所属研究機関の経費で購入したため,物品費を大幅に削減することができた.また,新型コロナウイルス感染予防のためB材およびC材の実態調査を実施できなかったことから,旅費を十分に執行できなった.次年度は,追加で実施する貫入模型実験に用いる模型丸太のテーパー加工や,押込み試験に用いる丸太の購入や丸太打設施工の外注,2021年度に実施できなかったB材およびC材の実態調査を予定しており,繰り越した直接経費を有効に活用する予定である.
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