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2021 年度 実施状況報告書

機械学習で導き出したスギ横断面における全組織の形状と位置、その応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K05702
研究機関東京大学

研究代表者

堀 成人  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80313071)

研究分担者 竹村 彰夫  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50183455) [辞退]
山口 哲生  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20466783)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード年輪気象学 / 組織形状 / 画像解析 / ディープラーニング
研究実績の概要

本課題の目的は機械学習(Machine Learning, 以降ML)を新機軸とし、木材組織学におけるこれまでにない発見の探索にある。その前半部はスギ横断面で観察できる組織の画像認識法を確立することにあり、本年度はその足がかりをつけた。画像認識におけるMLの具体的な環境は次の通りである:ディープラーニングによる機械学習、画像の識別・学習方法に畳み込みニューラルネットワーク、事前学習あり、前処理段階では教師あり、numpyおよびGoogle TensorFlowを解析ライブラリ、プログラミング言語にPythonとC++を併用した。木材横断面の画像取得は高性能スキャナで行うとともに、インターネットにある画像も著作権に注意を払いながら利用した。既往の研究では年輪幅を横断面の数カ所を測定し、その平均値などで評価しているが、本検討ではMLによる画像識別を用いて年輪界を検出し、より詳細な年輪幅を得られる方法を開発することにある。そのための解析プログラムを作製し研究の基盤として整備した。申請書図3に示したように、年輪画像を極座標系から直交座標系へ変換することでMLでの取り扱いが容易になり、帯状の年輪をΣan(x)^nで表される多項式で表現することに成功した。そしてその多項式で複数の木材横断面の画像を解析し、機械学習で最適化できることを示した。その際に、過学習に至らないよう中心に近い年輪の関数を重要視し、より外側の関数の次元を小さくするよう試行錯誤した。なお、極座標系から直交座標系に変換するにあたり、座標系の中心(髄)に行くほど画素が少なくなり情報が疎になるが、周りの画素から勾配を利用して予測し、画素を補完する方法を採った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本課題は5つの小課題に分けられる。そのうち当年度は、1.機械学習(Machine Learning, 以降ML)による木材の組織形状を画像識別する技術の確立、2.木材横断面にある組織の形状と位置の記録法の確立を行う予定であった。これについて手元にある木材の横断面をスキャナーで読み取り、またインターネットで見られる画像を利用して基盤は整備したが、実際の木材試料を多くは確保できず、説得力のある実証実験を十分深く行うことができなかった。林地に赴いて木材試料を採取して資料を集めるはずが、コロナ禍でなかなかそうはいかなかったために試料数が少なくなってしまった。もう一つ、機械学習の効率は電子計算機の能力に大きく依存するが、手元にあるパーソナルコンピュータ(PC)では能力不足で十分な検討を行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

次年度(2022年度)は本年度の画像解析の精度を上げるためにより性能が高いワークステーションを新規導入し、さらには高解像度の画像を取得して解析精度を上げる予定である。本年度は十分ではなかった木材試料の収集は、コロナ禍をむやみ恐れていた時期は過ぎたと思うので、精力的に行いたいと考えている。小課題2で記した、横断面上にある組織すべての形状と位置の記録について、ボロノイ図を導入して達成できるよう取り組む。本課題の肝は年輪気象学と機械学習の接点にある。そのため次年度は年輪気象学的なデータの取りまとめを始める。

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公開日: 2022-12-28  

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