研究実績の概要 |
アラゲキクラゲ市販菌株 M89並びに琉球大学農学部林産科学研究室保存の沖縄県産アラゲキクラゲ6菌株(AP1-006, 007, 069, 070, 071, 118)を用いて、菌糸体培養試験、子実体形成試験を実施した。 菌糸体培養試験では、供試菌をPDA平板培地に接種し、15ー37℃にて14日間、暗培養して菌糸体伸長量を測定した。いずれの菌株も15-34℃で菌糸体は成長し、37℃では成長しなかった。菌糸体伸長が最大となる培養温度は、M89では25-28℃、AP1-006, 007, 069, 070, 071, 118の各菌株では31-34℃となった。特にAP1-068,070,071の各区菌株は34℃で最適温度を示した。 子実体形成試験では、供試培地にはスダジイ・フスマ培地(4:1(重量比)、含水率65%)を用い、培養ポット(直径80mm, 高さ100mm)に供試培地を80g詰め、22℃,25℃,28℃,31℃で暗培養した。菌糸体が培地全体に蔓延した後、さらに10日間の熟成培養を行った。その後、22℃、25℃、28℃、31℃、34℃、約500luxに移して子実体形成を促した。子実体原基、子実体形成に要する日数、子実体原基の個数、子実体収量を測定した。 25℃、28℃の培養温度では、いずれの菌株においても発生温度22ー31℃で子実体を形成した。22℃の培養温度では、P1-069での発生温度22℃、25℃、28℃、AP1-071での発生温度22℃、M89での22℃で子実体形成が認められたが、これら以外の菌株、培養温度、発生温度の条件では子実体形成は認められなかった。 菌床培地におけるアラゲキクラゲの子実体形成は、培養温度が子実体形成の発生温度に著しく影響することが明らかになった。
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