研究課題
研究代表者は、これまで、背地適応魚ヒラメのストレスを可視化する方法を見出した。また、ヒラメに化学的なストレスを与えることで、均一かつ再現性のあるストレス誘導を引き起こさせることに成功した。これらによると、ストレスを与えたヒラメは、まず、白斑が凝集、その後、体色全体が黒化するというストレスの0次応答を引き起こす。そこで、研究開始初年度である令和3年度、本研究では、上記の方法でストレスを与え0次応答を誘導したヒラメに、炭酸、研究汎用魚類麻酔である2-フェノキシエタノールおよびオイゲノールを含む水産承認麻酔であるFA100に浸漬し麻酔をかけ、以下の実験を行った。まず、各麻酔に作用した個体から、採血したのち、脳・脳下垂体・頭腎・色素胞を採取した。そして、血中コルチゾル、グルコースおよびL-乳酸濃度を測定し、麻酔時おけるストレス因子の動態を調べたところ、各麻酔間で著しい差異は認められなかった。次に、ストレス関連遺伝子である熱ショックタンパク質(hsp)に着目し、脳および頭腎hsp90・hsp70の遺伝子発現量変化を調べた。その結果、頭腎hsp70 mRNA 量は炭酸と2-フェノキシエタノールで、頭腎hsp90 mRNA 量は炭酸水とFA100で低くなることがわかった。くわえて、脳・脳下垂体Total RNAからcDNAライブラリを作製し、次世代シークエンサー解析に供した。今年度は3課題5項目のうち、既知麻酔作用因子解析および新規麻酔作用因子探索を実施した。次年度は、新規麻酔作用因子探索をおこなう予定である。
3: やや遅れている
研究初年度は、炭酸・オイゲノール・フェノキシエタノール麻酔下における0次応答誘導ヒラメの熱ショックタンパク質の発現を調べた。あわせて、脳・脳下垂体における次世代シークエンスは行ったが、解析まで至らなかった。
今年度は、次世代シークエンサー解析から得られたデータを分析し、階層型クラスタリングとヒートマップ作図をおこない、顕著な発現差が認められた候補遺伝子を既存魚類ゲノムの遺伝子をリシークエンスし、I)体色調節関連、II) 脳や中枢神経機能抑制因子を中心に未知なる因子を同定する。あわせて、候補遺伝子の発現解析、抗体作成など次の研究に発展すべきデータ解析を実施する。
飼育魚が低温のため餌量が減ったことによる。しかしながら、次年度となり、温度上昇とともに接餌量が増加したため、予定通り使用する。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件) 図書 (3件) 備考 (3件)
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