令和5年度の研究成果 特許飼料給餌とオキソリン酸(OA)投与を組み合わせたサケ稚魚の鞭毛虫総合的防除技術を確立するため、鞭毛虫の寄生防除に与える特許飼料2%添加飼料給餌及びOA20mg/kg・日 5日間投与の効果を検証した。試験群として、対照群(特許飼料0%+OA0mg/kg)、特許飼料群(特許飼料2%+OA0mg/kg)、総合的防除技術群(特許飼料2%+OA20mg/kg・日 5日間投与)の3群を設けた。鞭毛虫の寄生を受けていない被感染魚に、特許飼料添加配合飼料を7日間予防給餌した後に、被感染魚、イクチオボド感染魚とスピロヌクレウス感染魚の28日間の同居感染試験を行ない、合計35日間の飼育を行った。飼育22日目から前述の処方でOAを投薬した。飼育終了時、総合的防除技術群は対照群と比べ有意に高い両鞭毛虫の防除効果を、特許飼料群と比べイクチオボドでは同等の防除効果を、スピロヌクレウスでは有意に高い防除効果を示した。以上の結果から、総合的防除技術は有効と判断され、海水中のサケ稚魚の鞭毛虫総合対策に活用できることが示唆された。
研究期間全体を通した研究成果の要約 淡水中の鞭毛虫寄生稚魚を海水へ移すと、既に移行前海水適応能の低下していた一部の稚魚が死亡したため、淡水中の鞭毛虫寄生は、降海後サケの初期減耗要因となることが示唆された。海水中稚魚の鞭毛虫総合的防除技術として、特許飼料2%添加飼料の給餌及びオキソリン酸20mg/kg・日 5日間の投与が有効と判断した。
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