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2021 年度 実施状況報告書

ヒラメにおける完全な全雌生産技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K05740
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

山口 寿哉  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 主任研究員 (70604312)

研究分担者 北野 健  熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40336219)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒラメ / 全雌生産技術 / 性分化 / 環境依存的性決定 / ゲノム編集
研究実績の概要

ヒラメは雄と比較して成長が早い雌のみを生産する全雌生産技術の開発が望まれているが、水温などの環境要因により遺伝的な雌が雄化することから、ヒラメの完全な全雌生産は困難とされている。そこで、本研究では環境要因により雄化しない系統をゲノム編集により作出することを目的としている。
2021年度はヒラメの雄化に関わる遺伝子として雄特異的に発現するamhの受容体であるamhr2遺伝子についてのゲノム編集を実施した。ゲノム編集に用いたCRISPR/Cas9システムはF0世代で高効率に表現型に変異が得られるメダカにおいて開発された広域欠失を誘導する手法を用いた。その結果、ゲノム編集を実施したamhr2遺伝子のF0変異体ヒラメについて、標的DNA配列の変異状況をアンプリコンシーケンス解析により調べたところ、増副されたPCR産物のほぼ全てに何らかの変異が導入されていることが確認され、そのうちの7割程度が700bp程度の広域欠失であり、ゲノム編集により変異が導入されていることが確認された。それらの変異体についての組織学的解析による生殖腺の性を判別したところ、非編集のヒラメ20尾についての精巣を持つ雄の出現率が55%であるのにたいして、amhr2ゲノム編集変異体では解析した10尾全てが卵巣を持つ雌だった。また、変異体の卵巣は通常のヒラメと比較しても正常な卵巣構造を示しており、さらに、リアルタイムPCRによる解析においても、雌特異的に発現するcyp19a1及びfoxl2遺伝子の発現状況は通常の卵巣と同様の発現状況を示した。このように、2021年度はヒラメにおいてもCRISPR/Cas9システムを用いることで高効率に広域欠失によるF0世代での変異体の作出が可能であることを示し、ヒラメのamhr2遺伝子の変異体は雄から雌へと性転換することを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は本研究遂行の中心となるヒラメの雄化に関わるamhr2遺伝子のゲノム編集変異体を作出し、変異体が雄から雌へ性転換していることを確認した。これにより研究計画は順調に進展している。RNA-seq解析については、飼育していた試験魚の一部が病気により斃死し、RNA-seq解析に向けたサンプリングの実施には至らなかったが、RNA-seq解析は次年度以降に実施する機会があるために本研究の遂行に大きな支障は無いと考えられる。

今後の研究の推進方策

2022年度は研究計画に従い、引き続きamhr2遺伝子のゲノム編集変異体の作出を継続するとともに、変異体の系統化に向けた親魚の作出を目指し、メチルテストステロンやアロマターゼ阻害剤などを用いた人為的に雌から雄へと性転換させる手法によるamhr2変異体の性転換試験を実施する。また、通常の雌雄や変異体を用いたRNA-seq解析を実施することで、ヒラメの性分化に関わる新たな遺伝子の探索を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初、2021年度に予定していたRNA-seq解析が試験魚の不足により実施不可能となった。その解析を2022年度に実施するための使用額として生じた。

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公開日: 2022-12-28  

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