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2022 年度 実施状況報告書

ヒラメにおける完全な全雌生産技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K05740
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

山口 寿哉  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 主任研究員 (70604312)

研究分担者 北野 健  熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40336219)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒラメ / 全雌生産技術 / 性分化 / 環境依存的性決定 / ゲノム編集
研究実績の概要

本研究では、環境要因により雄化しない完全な全雌生産を可能にするヒラメ系統をゲノム編集により作出することを目的としている。
これまでの研究において、2021年度はCRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集によりF0世代から高効率にノックアウト変異体を作出可能であることを確認した。また、ヒラメの性決定遺伝子であるamhの受容体(amhr2)のゲノム編集を実施し、作出したノックアウト変異体の遺伝的雄は卵巣を持つ雌へと性転換することを確認した。これらの結果を踏まえて2022年度はamhr2変異体ヒラメの性転換メカニズムについて調べた。先ずは性分化関連遺伝子の発現状況をリアルタイムPCRにより調べた結果、雄特異的に発現するamhがamhr2ノックアウトヒラメでは発現がほとんど認められなかった。その一方、通常の雌と同様にエストロゲン合成酵素であるcyp19a1及びその転写因子foxl2が高く発現していることが分かった。また、エストロゲン合成酵素の阻害剤であるファドロゾールを投与したamhr2ノックアウトヒラメは卵巣を持つ雌から精巣を持つ雄に性転換していた。これらの結果から、amhr2をノックアウトすることで結果的にエストロゲン合成が阻害されることにより遺伝的雄が雌へと性転換していることが示された。また、ファドロゾール投与実験により全て雌になるamhr2ノックアウトヒラメを雄化させることに成功したことから、系統化に向けてF0のamhr2ノックアウトヒラメ雌雄の交配が可能になった。さらに、ヒラメの性分化機構に関わる新規遺伝子の探索のためにRNA-seqによる性分化開始時期(孵化後50日)の生殖腺における発現量に雌雄差がある遺伝子の探索を試みた。データ解析の結果、数十個の有意差がある遺伝子を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度はヒラメにおいてamhr2を介したamhシグナルが性分化の初期に生殖腺の雄化を誘導する重要な役割を持つことを確認できた。このことから、amhr2をノックアウトしたヒラメは高水温などの環境要因により雄化しない可能性が高いと考えられる。また、全て雌になるamhr2ノックアウト変異体をF0で雌雄交配する為にエストロゲン合成酵素の阻害剤投与により雄化することに成功したことから、系統化についても進展した。このように、環境要因により雄化しない完全な全雌生産を可能にする系統の開発にむけて本研究は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

2023年度は研究計画に従い、変異体が高水温による雄化を引き起こさないことを確認するための高水温飼育実験を実施する。これにより、作出した変異体が全雌生産に有用な系統となり得るかどうかを確認する。また、RNA-seq解析で得られた性分化に関わる可能性がある遺伝子についての発現解析を行い、ゲノム編集による遺伝子機能の解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

都合により学会発表に参加できなかったことから旅費分の残額が生じた。次年度使用額は2023年度の学会発表の旅費としての使用を計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Amh/Amhr2 Signaling Causes Masculinization by Inhibiting Estrogen Synthesis during Gonadal Sex Differentiation in Japanese Flounder (Paralichthys olivaceus)2023

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi Toshiya、Kitano Takeshi
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 ページ: 2480~2480

    • DOI

      10.3390/ijms24032480

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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