褐藻類アラメの海中林はパッチ状群落を単位とするメタ個体群構造である。水塊を隔てた局所群落間の距離による隔離は、低頻度の遊走子の交流によって繋がれていると考えられる。本研究では、湾内の養殖筏における二枚貝類による濾水活動が、群落パッチ間の遊走子による交流を阻む可能性に着目した。大規模に二枚貝養殖が行われている志津川湾10地点と女川湾8地点におけるアラメ群落のSNPの検出による遺伝構造解析の結果をそれぞれの海域における二枚貝養殖筏の分布と照合すると、養殖筏が存在すると遺伝的隔離が生じ、アラメ群落の存在する地点間の距離が短いにもかかわらず分散が妨げられていることが示唆された。
|