研究実績の概要 |
カロテノイドは、植物や微生物によって合成される天然色素であるが、ヒトにとって重要な生理活性物質であるため、食品添加物・サプリメント・化粧品原料として利用されている。カロテノイドの一種フコキサンチンは、コンブやオキナワモズクなどの藻類が生産するカロテノイドで、抗肥満作用・抗高血圧作用があるため、昨今サプリメントなどとして需要が高まっている。これまでに、様々な植物や微生物のカロテノイド生合成経路および生合成遺伝子についての研究が行われ、遺伝子組換え微生物を用いたカロテノイド生産システムが構築されてきた。しかしながら、フコキサンチンに関しては、下流の生合成経路が明らかでなく、生合成遺伝子も不明である。そのため、本研究ではオキナワモズクを用いて、フコキサンチンの生合成経路および生合成遺伝子を明らかにすることを目的とした。 本年度は、フコキサンチン生合成経路の上流経路に働く遺伝子の単離および機能解析を行った。そのためにまず、既知の植物カロテノイド生合成遺伝子と相同な配列を、公開されているオキナワモズクのドラフトゲノム配列や我々のRNA sequencing データから検索した。その結果、PSY, PDS, ZISO, ZDS, CRTISO, LCYb, CYP97B, ZEPと相同な遺伝子を1つもしくは2つずつ見出し、全長配列の単離を行った。さらに、これらの遺伝子を発現用大腸菌ベクターにクローニングし、大腸菌を用いて機能解析を行った。その結果、PSY, PDS, ZDS, CRTISO, LCYb, CYP97Bについては、予想される活性を確認することができた。一方、ZISOについては直接的ではないが間接的に活性を確認している。また、ZEPは活性が確認できていないため、植物を用いた活性測定等を行っている。
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