研究課題/領域番号 |
21K05776
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
大城 直雅 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 室長 (20507032)
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研究分担者 |
村野 晃一 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (50827277)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アオブダイ中毒 / 横紋筋融解症 / 食中毒 / パリトキシン様毒 |
研究実績の概要 |
アオブダイ等の魚類を摂食後、数時間で横紋筋融解症(ブダイ中毒)などを主症状とする食中毒が散発的に発生している。この食中毒の原因物質はパリトキシン様毒と称されているが、化学構造等の詳細については明らかになっていない。原因物質を特定し、その作用機序明らかにするために、毒性評価系について検討した。 食中毒残品および対照として用意した同種の市販品から抽出物を調製し、マウスに腹腔内投与したが、致死活性やマウスの不調等の明確な毒性は確認できなかった。また、実験に供したマウス血中のクレアチニンキナーゼ(CK)値に異常は認められなかった。一方、魚肉調製物を経口投与したマウスにも顕著な病変は認められなかったが、一部の個体でCK値の上昇等が確認された。再現性を確認するためには、より多くの試料を必要とし、貴重な食中毒残品試料を動物試験で消費してしまう懸念があるため条件等の検討が必要と考えられた。 一方、株化細胞を利用した毒性評価系として、細胞毒性試験について種々の条件下で検討した。魚肉抽出物を作用させた株化細胞に対して、ある特定の条件下において、食中毒残品に限って細胞死をもたらす画分があることが確認された。このことから、食中毒残品特有の毒性物質の存在が示唆された。この細胞毒性を指標として、分画を進めており、原因物質の特定を検討中である。なお、マウス毒性試験において特異的な症状等が確認されなかったため、LC-MS等による多変量解析等について時期早々と判断したが、細胞毒性試験結果を基にした解析を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食中毒残品の抽出物をマウスに投与したが、致死活性等の明確な毒性が確認できず、動物実験では貴重な中毒検体を大量に消費してしまう可能性が示唆された。そのため、細胞毒性等の活性を指標として原因物質の探索を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
貴重な食中毒残品を無駄に消費することを防ぐため、動物実験については、他の動物種への適用も含めて、文献調査等により評価系確立の可能性について引き続き進める予定である。 特定の条件下で活性が確認できた細胞毒性については、予算の都合もあるため、無償又は安価に入手が可能な細胞株での活性試験も含めてアッセイ系の確立を進めていきたい。 また、併行して活性を指標とした原因物質の単離を進めつつ、LC/MSなどによる多変量解析についても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画3年度の2年目として、実験に必要な試薬等の購入、研究打合せおよび学会参加等のための旅費、実験補助等に必要な謝金等を支出する必要があるため。
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