本研究の最終目標は、低コストウニ用配合飼料の開発を目指している。この最終目標を実現するために、本研究では、ウニ生殖巣の肥大に伴う栄養の合成・蓄積に最も関与している核内受容体COUP-TFのリガンドを特定することを第一目標とする。COUP-TFは、無脊椎動物から脊椎動物において存在し、タンパク質・糖・脂質類の合成を制御している。未だ生体内のリガンドは不明である。ウニ生殖巣の肥大時にタンパク質・糖・脂質類の合成・蓄積が核内受容体の制御によりなされている科学的根拠を基にして本研究で明らかにするCOUP-TFのリガンドを含む低コスト天然素材を用いウニ用配合飼料の設計に応用する。 これまでにMYPプロモーター領域を組み込んだレポーターアッセイ系を構築し、ウニ生殖巣中の総脂質をシリカゲルを用いて分画した。今年度、総脂質のシリカゲルによる分画の再試験を行って結果、極めて高い活性を持つ画分を得た。昨年度、確立した細胞培養系でMYP合成活性が認められなかった理由として、シリカゲルによる分画が不十分であったことが明らかになった。 さらに、この分画からCOUP-TFのリガンド特定のために、これまでに作製しているCOUP-TFに対する特異抗体を用いた免疫沈降法により、リガンドが結合したCOUP-TFを単離し、リガンドを特定することとした。現在この免疫沈降法の確立を試みている。
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