研究課題/領域番号 |
21K05786
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
小林 牧人 国際基督教大学, 教養学部, 特任教授 (30183809)
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研究分担者 |
清水 安夫 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (00306515)
藤沼 良典 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (00826026)
吉冨 友恭 東京学芸大学, 環境教育研究センター, 教授 (20355829)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイクロプラスチック / 人工芝競技場 / ゴムチップ / ポリエチレン製人工芝 / キンギョ / ニジマス |
研究実績の概要 |
海洋マイクロプラスチックごみ問題は、世界規模の環境問題のひとつである。本研究では、スポーツ施設のひとつである人工芝競技場の使用による環境への影響に着目した。具体的には人工芝競技場の構成物が海洋マイクロプラスチックごみとなり得るか、またそうだとしたらどのような対策が可能か、検討する。 2021年度は、人工芝競技場のゴムチップが競技場の外に流出していること、実験室内でキンギョ、キンブナ、ニジマスがゴムチップを摂取することを明らかにした。 2022年度は、人工芝競技場のポリエチレン製の芝葉について調べた。芝葉は本来接着剤で競技場の基布に接着しているものであるが、競技場では芝葉断片が大量に採取された。芝葉の長さを測定したところ、採取された芝葉は本来の長さよりすべて短く、芝葉は基布からの接着がはがれたものではなく、競技者の活動によって断裂されることが明らかとなった。また断裂された芝葉は、競技場外に流出していることも明らかとなった。さらに実験室内でキンギョが芝葉を摂取することを明らかにした。 これまでの結果から、人工芝競技場のゴムチップ、芝葉は、環境中に放出され、海洋マイクロプラスチックごみとなりうること、野生魚類に摂取された場合、生態系への負の影響を与える可能性があることが示された。 2023年度は、ゴムチップ、芝葉の競技場外への流出防止装置の作製を行う予定である。さらにあらたに生じた問題として、競技者の競技と芝葉の断裂の関係を、競技時間、移動距離および靴の形状の観点から調査をすることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたとおり、研究は順調に進行している。1年目に人工芝のゴムチップについての観察、実験を行い、学会発表を1回行い、論文を2編出版した。 2年目は、人工芝の芝葉についての観察、実験を行い、現在論文を投稿中である。 2023年度は、競技場からのゴムチップ、芝葉の流出防止装置の作製を行っている。実験室内の予備実験では、我々の作製した装置により、ゴムチップ、芝葉の流出防止効果が得られている。実験室内での成果が十分に得られたら、実際の人工芝競技場に装置を設置して、実証試験を行う予定である。 なお新たに生じた検討項目として,競技者の人工芝競技場使用時間、距離、靴の形状と芝葉の断裂の関係を調べる必要があるが、この調査・測定は2023年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
人工芝競技場からのゴムチップ、芝葉の流出防止装置を作成する。はじめに実験室内でシミュレーション実験を行い、装置の流出防止効果を確認する。ある程度の成果が得られたら、装置を実際の人工芝競技場に設置し、実証試験を行う予定である。 また競技者の人工芝使用時間、距離、靴の形状と芝葉の断裂の関係を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、競技者の競技場使用時間、移動距離、靴の形状と芝葉の断裂との関係については、検討項目としていなかったが、2023年度に新たに調査・測定を試みるため、予算を2022年から2023年に繰り越した。購入すべき物は、時間だけでなく、移動距離の測定が可能なGPS機能の付いた腕時計および靴底の形状の異なる靴などである。
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