研究課題/領域番号 |
21K05802
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研究機関 | 新潟産業大学 |
研究代表者 |
阿部 雅明 新潟産業大学, 経済学部, 教授 (20319015)
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研究分担者 |
平野 実良 新潟産業大学, 経済学部, 講師 (10434458)
黒岩 直 新潟産業大学, 経済学部, 講師 (20785224)
宇都宮 仁 大正大学, 地域創生学部, 准教授 (60711091)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域通貨 / 地産地消 / 農業活性化 / 地域商店活性化 / 地域通貨ゲーム / 囚人のジレンマ / 持続可能な社会 |
研究実績の概要 |
本研究においては、地域消費行動における囚人のジレンマから抜け出し、地域社会におけるパレート最適を達成するため、特に地域農業の再生に重点を置いた地域通貨流通システムの構築を目指している。そのため、2022年度も地域農家の協力のもとボランティア学生による手植え・無農薬でのお米作りを実施した。収穫されたお米の販売収益は、本研究で発行している風輪通貨(地域通貨)の流通活動資金として使用した。以上を通して、農業収益で地域通貨を流通させ地産地消を推進する社会システムづくりに関する検証を行った。 また、地域通貨の配布対象となるボランティア活動は、お米づくりだけでなく、地域清掃ボランティアや地域商店のバリアフリーの対応状況に関する調査ボランティアなども対象として配布を行った。 このように、地域活性化に貢献するボランティア活動に対して地域通貨を配布して、ボランティア参加者が地域通貨を地域の協力店で使用し、地域通貨運営委員会が地域通貨使用期限終了後に、協力店で使用された地域通貨を現金と交換し、お店から回収するという基本的枠組みはできているが、流通規模が小規模なため、地域経済活性化の効果の検証ができる段階にはない。 そこで、今年度は地域通貨が地域経済に与える効果を教室内で体験できる地域通貨ゲームを、様々なグループで実施して、その効果の検証とともに、参加者への啓蒙活動を行なった。今後は、さらにこの地域通貨ゲームを様々なグループで実施してグループ特性と地域経済の関係、そして地域通貨を導入しない状態での長期繰り返しゲームを実施して、地域コミュニティの形成と地域消費行動の変化についても検証したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、実際に地域通貨を発行・流通させ、その検証を通じて、地域通貨による地域活性化効果を検証するとともに、農業再生にも貢献する地域通貨流通システムを構築することを目指している。この目的達成の補助研究として、教室内で擬似的に地域内消費行動とネットショッピングの関係を体験できる地域通貨ゲームの開発、様々なグループへの体験会を実施している。 上記、地域通貨ゲームの実施と検証については予定通りデータが蓄積されており、本研究最終年の令和5年度で総括する予定であるが、実際に新潟県柏崎市の商店街の焼く30店舗で使用できる地域通貨( 風輪通過)の配布は、コロナ禍の影響で、通貨配布のボランティア活動が縮小したため、予定を大幅に下回ってしまった。次年度はようやくコロナ禍も乗り越えつつある現状により、配布ボランティア活動を拡大して、当初の予定していた規模での社会実験を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
全3年間の本研究も今年度までに2年間が終了している。地域通貨ゲームの様々なグループを対象とした実施に関しては比較的順調であると言えるが、地域通貨を実際に発行し流通させ、その効果を検証しシステムの改良を検討する部分については、コロナ禍の影響を受け、大幅に予定から遅れている。 そのため、本研究の最終年度となる令和5年度においては、流通させる地域通貨の発行量を過去2年間に比較して、大幅に増加させる。これにより、過去2年間に検証が難しかった部分について、地域通貨の利用者や地域通貨を受け入れてくれた協力店の店主に対してアンケート調査を実施して検証する予定である。 本研究内で、比較的順調に進んでいる地域通貨ゲームの実施と検証についても、新たに、長期繰り返しゲームとして実施して、地域コミュニティの形成と地域内消費行動の関係の検証などを進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、ボランティア活動の実施とそのボランティア活動参加者への地域通貨の配布を通して、農業活性化に寄与する地域通貨流通システムの構築を目指している。しかし、コロナ化の影響で予定していたボランティア活動の実施ができず、過去2年間の研究活動において地域通貨流通活動が非常に小規模なものとなってしまった。また、これに付随した市民へのアンケート調査も実施できないものがあった。 そこで、次年度は過去2年間で実施・配布できなかったボランティア活動を追加で実施し、大幅に地域通貨配布枚数を増加させ、その流通の効果を検証し、流通量の少なかった過去2年間との比較研究も行う予定である。
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備考 |
風輪通貨流通活動を紹介するホームページとYouTubeチャンネルを公開しています。
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