研究課題
本研究の学術的背景と研究実施の意義は,設置環境の影響を受けて急速に進む鋼矢板護岸の早期劣化実態の解明と保全対策を具体的に考慮した精緻な寿命評価を如何にして実現するかにある。我々は,新潟県亀田郷地区において2011年度に腐食実態調査を実施し,標準耐用年数の半分である供用後約20年で腐食劣化が顕在化することを明らかにした。農業農村工学分野では,このような現状を踏まえて,鋼矢板護岸の長寿命化対策を進めている。しかし,鋼矢板の材料科学的観点からの腐食実態の詳細評価やそれに基づく非破壊検査法の確立,寿命評価など,未解決の技術課題が数多く残されている。本申請課題では,これらを機械学習(ないし深層学習)手法を援用して効果的に解決するための方法論を提案した。2023年度は,これまで開発してきた腐食実態を考慮した鋼矢板護岸の新たな寿命評価法を実構造物に応用し,安全かつ効果的な農業用鋼矢板水路の保全対策を提案した。提案手法は,環境ノイズが確認されている実環境において鋼矢板護岸を対象に非破壊・非接触計測が可能となり,非破壊診断精度の向上が確認された。特に空間統計モデルを有効に活用することで,計算負荷の軽減を考慮した上での腐食実態の詳細診断が実現でき,既存施設の調査診断への応用が期待されている。一連の研究成果は,閲読付き論文6件,口頭発表17件(国際会議含む)である。一部の研究成果は,農業農村工学会より,技術奨励賞や著作賞,北海道支部賞など,複数の受賞を獲得した。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 1件)
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