本研究では、土壌を平行板コンデンサーの極板とするシステムの静電容量を調べることで、土壌中に存在する水分の量や分布などの情報を取り出すことができるか、明らかにしようとしている。内径46mm、高さ100mmの透明アクリル円筒容器の中に、含水比9%に調整したまさ土を充填した。これを70℃のオーブンで3日かけて乾燥させ、さらに1日室内に放置した。幅1.5cm、長さ9cmのアルミテープを2枚用意し、円筒容器の側面外側に一枚を張り付け、もう一枚を内側の側面に貼り付けた。試料土壌が水で濡れると、内側の極板は濡れた試料と電気的につながることで、内側の極板面積が増加する。これにより静電容量が増加することが期待できる。二つのアルミ極板をCVコンバータ(エヌエフ回路設計ブロック、CV-242M3)につなぎ、これにより静電容量から変換された電圧値をデジタルマルチメータ(エヌエフ回路設計ブロック、DM2571)で測定した。試料の底面にナイロンメッシュを被せ、土壌が落ちないようにした。試料を空中で支えながら、支えの台も含めた全体の質量を測定した。質量は、毛管上昇開始時に急激に増加し、徐々に速度を落としながら増加を続け、15分程度で約40g増加し、最大に達した。この傾向は実験の観察結果と一致している。静電容量は、毛管上昇の前後で0.159nFから0.173nFまで増加した。実験開始時に若干の不安定な変動を示したが、その後は安定して増加しつづけた。そして、約12分で最大に達し、それ以降は一定値を示した。この変化の傾向は、質量の測定結果と同様に、毛管上昇の観察結果とよく一致している。以上より、簡単な工夫によって、毛管上昇を試料の質量の変化や静電容量の変化として調べられることが分かった。
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