研究課題/領域番号 |
21K05836
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
廣瀬 裕一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (40399366)
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研究分担者 |
小嶋 創 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (80803064)
松田 周 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, グループ長補佐 (90391482)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ため池災害 / 農業水路溢水 / 避難行動 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
本研究の研究目的は、1)ため池水位を利用したため池下流側の河川氾濫に対する避難判断基準の策定手法と,2)住民の避難行動を促すため池避難基準水位の利用方法,の2点を明らかにすることである。 これを踏まえ令和3年度は、1)では岡山市北区原地区内の原下池、磯尾谷川、合同用水の3地点に水位計を設置した。また、原地区町内会長への聞き取りから、平成30年7月豪雨当時の原地区で発生した溢水が、深夜に発生したこと、急激な水位上昇により溢水したこと、膝上くらいまで浸かったこと等を確認した。 2)については、原地区での,当時の河川氾濫に到るまでの気象情報や行政からの避難勧告等の発令状況,磯尾谷川の水位の状況等を,文献調査やため池管理者等への聞き取り調査から整理した。また、ため池災害における住民の避難行動の意思決定に関する基礎的な知見を得るために、平成30年7月豪雨でため池堤体の亀裂による避難指示が発令された岡山県浅口市R地区を対象に、市役所職員および住民へのインタビュー調査、R地区へのアンケート調査によって、ため池災害の特徴を考慮した避難意図モデルを作成した。その結果、性別や被害経験の有無、災害情報の理解度、居住地域、ため池との関わり、ため池への関心が避難意図の形成に影響することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の蔓延により出張が制限された時期が断続的に発生したことにより、水位計の設置が当初の予定した時期より遅れた。住民への聞き取り調査も新型コロナ感染症の蔓延により調整が困難で、当初予定した初年度の聞き取りが十分行えなかった。この遅れは次年度には解消の見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定した研究方法の変更はない。令和4年度は予定通り、研究目的1)ため池水位を利用したため池下流側の河川氾濫に対する避難判断基準の策定手法の解明では、水位の観測を継続する。2)住民の避難行動を促すため池避難基準水位の利用方法の解明では、令和3年度に実施予定であった、原下池の管理者等への平成30年7月豪雨当時の状況に関する聞き取りを実施した上で、当初の予定にある,原地区における,河川氾濫に対する住民の避難行動の実行に対する意思決定プロセスモデル(以下,意思決定モデル)を,インタビュー調査を用いて構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は主に、1)予定していた学会参加に関する出張がコロナ禍によりオンラインになったこと、2)水位計等の資材が想定より安価に購入できたことの2点である。 次年度以降の使用計画では、特に最終年度(令和5年度)は研究拠点が善通寺市からつくば市に変更となる予定であることから、水位計を設置する岡山市への出張旅費が嵩む見込みである。よって、旅費の差額に使用する予定である。加えて、コロナ禍で水位計の設置が遅れたため、令和3年度夏季のデータが取得できなかった。十分な水文データを得るために、研究期間を1年延長する予定である。そのため、研究期間内に予算を消化する見込みである。
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