研究課題/領域番号 |
21K05845
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒木 徹也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40420228)
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研究分担者 |
根井 大介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (70466001)
五月女 格 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90469833)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大気圧低温プラズマ / 農産物 / 供給ガス / 電子スピン共鳴分光法 / 抗菌活性 |
研究実績の概要 |
本研究課題の核心をなす学術的な問いの一つは「供給ガスの種類および濃度を変化させて生成されたマルチガスプラズマバブル水の物理化学的特性とはどのようなものか」であり、上記の学術的問いが実験的研究を通して解明されるならば、マルチガスプラズマバブル水を農産物の収穫後洗浄処理に適用することを想定した場合に、「大気圧低温プラズマによる農産物の鮮度保持効果に及ぼす供給ガスの種類と濃度の影響はどのようなものか」という本研究課題に直結する学術的な問いが導かれる。そこで今年度は、新規殺菌方法としての大気圧低温プラズマバブリングシステムの特性評価を行い、具体的には物理化学的特性およびin vitro 殺菌効果(大腸菌 O157:H7)を測定するとともにおよび電子スピン共鳴 (ESR) 測定により反応種について実験的に検討し、プラズマ活性水との比較を行った。プラズマ活性水処理後の大腸菌数は5分以内に 3.3-log 減少したのに対し、直接処理では3分以内に検出限界未満まで大腸菌数が減少した。また、電子スピン共鳴 (ESR) 測定によりヒドロキシルラジカルと一重項酸素が主要な短命反応種であることが明らかとなった。高活性酸素種は直接添加剤であるため、処理後に化学物質が残留することがなく、また大気圧低温プラズマの高い殺菌効果が実験的に確認されたことから、本研究で得られた結果は、今後食品衛生分野にに適用した場合により効果的な処理方法を検討するために必要な基礎的知見を提供するものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に得られたいる研究成果を国内外の関連学会で発表済みであり、かつ英文誌にも投稿済みであることから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、すでに査読中の英文誌投稿論文1報のほか、現在までに得られている研究成果を国内外の関連学会で発表するとともに、英文誌に投稿する予定である。また、本研究課題に関連する基礎実験を担当している博士課程学生の博士論文が今年度中に完成予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表のための旅費が当初の想定より少なかったため。2023年度に学会発表のための旅費として執行する計画である。
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