研究課題/領域番号 |
21K05851
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大上 博基 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (80213627)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | イネの群落温度 / 気孔コンダクタンス / 夏季高温 / 水管理 / ひめの凜 / 光化学的応答 / 多層微気象モデル / 品種間差 |
研究成果の概要 |
イネ品種ひめの凜(HR),にこまる(NM)等の気孔コンダクタンス(gs)を比較した結果,HRのgsが最高であった.群落温度 (Tc) と穂温の測定値はHRが最低であったことから,HRは高いgsで蒸散を促進し葉温と周囲の穂温を低下させたと考えられた.高温時の灌漑直後にTcは0.4~0.7℃低下し,HRのTcの方がNMよりも0.5~0.8℃低かった.群落多層モデルでgsと水管理の効果を再現すると,両品種とも28℃水温の方が32℃水温よりもTcが0.2℃低く,いずれの水温でもHRのTcがNMよりも0.4℃低かった.群落下部からの小さい上向き長波放射と顕熱フラックスがTcと穂温を低くしたと考えられた.
|
自由記述の分野 |
地域水文気象学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
暑さに強いとされる愛媛県オリジナルのイネ品種ひめの凜は,にこまるやコシヒカリよりも気孔コンダクタンス(gs)が高く葉温と穂温が低かったことから,高いgsが高温耐性の原因の一つと考えられた.この成果は,系統選抜中のイネ交配種のgsを比較するフェノタイピングで,高温耐性種を選択できる可能性を意味する.水管理の効果について,高温時の灌漑によるイネ群落温度の低下が測定によって実証された.また,多層モデルによるシミュレーションで,高温時の灌漑による低水温が,上向きの長波放射と顕熱フラックスを低下させ,群落上部の葉温と穂温を低下させる可能性が明らかになった. 以上が,本研究成果の学術的・社会的意義である.
|