研究課題/領域番号 |
21K05857
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
内田 洋彰 木更津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00223561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水田用除草ロボット / 自動運転 / 作業経路計画 |
研究実績の概要 |
令和3年度は,第1の課題,“圃場形状を考慮した経路計画と高い追従性能を有する自動運転技術開発”について検討した。除草ロボットの自動運転による除草作業を行うことを目的に,①圃場形状を考慮した除草ロボットの経路計画を行った。基本的な圃場は凸型の多角形(四角形が主)となるので,多角形の頂点をx,y座標でとり,線形関数で多角形を定義して,現在開発中のロボットの作業幅1mで多角形内部を作業する経路計画を行った。本研究で用いる除草ロボットは左右旋回において旋回性能が異なることから,旋回性能が良い,左旋回とする経路計画を行った。プールでの自動運転による経路追従実験を行い,本研究で用いる除草ロボットにおいては,左旋回をベースとする経路計画が有効であることを示した。次に,②経路計画に基づき,自動運転をする除草ロボットを目標経路に追従するように FB制御系の構築を行った。2入力(推進用モータ,操舵用モータ),3出力(x,y,ロボットの姿勢角)の数学モデルに対して経路計画で設計された目標軌道に追従する制御系を設計した。さらには,風外乱を想定した外乱の影響を抑える外乱オブザーバを導入し,風外乱が作用する場合の目標経路に対する追従性,制御入力に基づく駆動エネルギ消費量をシミュレーションにより検証を行った。シミュレーション結果から外乱オブザーバを用いると外乱オブザーバを用いない場合と比較して風外乱の影響を抑え,作業速度変化が抑えられるため,一定時間での作業領域の変動を抑えられることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1の課題,“圃場形状を考慮した経路計画と高い追従性能を有する自動運転技術開発”については,凸型の多角形(四角形が主)となるので,多角形の頂点をx,y座標でとり,線形関数で多角形を定義して,現在開発中のロボットの作業幅1mで多角形内部を作業する経路計画を行った。自動運転については除草ロボットを目標経路に追従するように FB制御系の構築を行った。2入力(推進用モータ,操舵用モータ),3出力(x,y,ロボットの姿勢角)の数学モデルに対して経路計画で設計された目標軌道に追従する制御系の設計を行った。実際のロボットに実装することが課題である。 第2の課題,“除草作業に影響する外的因子の定量的抽出と圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響”については,令和3年度に数式モデルにおいて風外乱の影響について検討した。令和4年度は,風外乱,水深,稲の成長による抵抗などについて検討する。また,実際のロボットを用いて外乱が除草ロボットの作業に及ぼす影響を数値的に検討する。また,強化学習を用いて水田全体を作業するように経路計画を行う方法について検討を行っている。現在,ロボットのモデルを考慮しないで経路計画を行う方法について検討を行っている。 第3の課題“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”については,第2の課題で導入する強化学習を用いた経路計画がある程度,結果が得られるようになった後,除草ロボットの数式モデルを用いて,作業環境の状態(天候,風向き,圃場形状,稲の生育状態等)を考慮した経路計画を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
第2の課題,“除草作業に影響する外的因子の定量的抽出と圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響”の①除草作業に影響する外的因子の定量的抽出については,これまでに除草ロボットの数学モデルを用いた除草経路に追従するシミュレーションにより,風外乱が制御系設計および追従性能に及ぼす影響は明らかになっている。今年度は,実際の除草ロボットにおいて外乱の影響について明らかにする。また,制御系設計では外乱オブザーバを設計して,外乱の影響を抑制することも検討しているので,外乱オブザーバについても実際の除草ロボットにおいて明らかにする。また,圃場では水面から水底までの水深,稲の成長による抵抗も変化する。これらのパラメータが除草ロボットの作業に及ぼす影響も外乱としてとらえ,その影響をデータから明らかにする。②圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響については,最初に除草ロボットの旋回性能が左右旋回において異なる部分を解消して,旋回性能の差が問題にならないように除草ロボットを改善する。次に,強化学習を用いて水田全体を作業するように経路計画を行う方法について検討する。最初にロボットのモデルを考慮しないで経路計画を行い,次にロボットの数式モデルを用いて,検討する。 第3の課題,“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”については第2の課題で導入する強化学習を用いた経路計画の進捗状況次第でシミュレーションにより検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費として計上していた国際会議,国内での発表がオンラインとなり,旅費が発生しなかったため
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