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2023 年度 実績報告書

気候変動に適応可能な穀物の品質安定化メカニズムの分子基盤解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05868
研究機関山形大学

研究代表者

星野 友紀  山形大学, 農学部, 准教授 (20530174)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード穂発芽耐性 / イネ / QTL / 責任遺伝子
研究実績の概要

コシヒカリ(Ksh)と穂発芽耐性の強いインド型イネNona Bokra(Nona)を用いたQTL解析によって見出されたqSdr6bの責任遺伝子は、GeneAであると推定された。本研究では、このGeneAが真にSdr6bの責任遺伝子であるかを検証するために、Ksh突然変異集団からgenea突然変異体を単離し、逆遺伝学的な証明を試みた。Ksh突然変異集団の中から、GeneA領域に独立した非同義置換を有する6系統を選抜した。発芽試験の結果、独立した4系統では、野生型と比べて変異型のGIが有意に低かった。これらの結果は、GeneAがqSdr6bの責任遺伝子であるという仮説を裏付けるものであった。また、シロイヌナズナのGeneA相同遺伝子は、膜貫通タンパク質をコードしており、グルコースに応答して発芽を制御することが考えられたため、この仮説を検証するために、外因性グルコースによる発芽遅延試験を実施した。その結果、2%グルコース処理では、NIL(Sdr6b)のGI%は76.6 ± 2.1%であり、Kshの84.2 ± 1.6%と比べて有意に低かった。さらに、グルコース処理3時間後の胚において、NIL(Sdr6b)におけるABA8ox1の発現量は、Kshと比較して有意に減少していた。つまり、GeneANonaの機能欠損型は、ABA8ox1の発現量が低下することによってABA含量が高まり、穂発芽耐性を獲得していると考えられた。本研究において、Sdr6b/GeneANonaはABA代謝の上流で、これまでに穂発芽耐性に関してほとんど報告のないグルコース応答に関与し、ABAシグナル伝達を強化させることで穂発芽耐性に導くことが示唆された。今後は、本研究で明らかにされたSdr6b/GeneANonaを利用して、昨今の異常気象にも耐え得る、新たな穂発芽耐性品種の育成が期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Development of a High-Quality/Yield Long-Read Sequencing-Adaptable DNA Extraction Method for Crop Seeds2023

    • 著者名/発表者名
      Shioya Naohiro、Ogiso-Tanaka Eri、Watanabe Masanori、Anai Toyoaki、Hoshino Tomoki
    • 雑誌名

      Plants

      巻: 12 ページ: 2971~2971

    • DOI

      10.3390/plants12162971

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 作物種子からロングリードシーケンスに適応可能な高品質/収量DNA抽出法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      塩谷直弘、小木曽映里、渡辺昌規、穴井豊昭、星野友紀
    • 学会等名
      日本育種学会第144回講演会
  • [学会発表] オワリハタモチより見出された穂発芽耐性遺伝子座qSdr9.1およびqSdr9.2aの責任遺伝子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤紗知、杉本和彦、星野友紀
    • 学会等名
      第18回東北育種研究集会
  • [学会発表] 突然変異体を用いたイネ穂発芽耐性遺伝子座qSdr6bの責任遺伝子の逆遺伝学的証明2023

    • 著者名/発表者名
      西村麟太郎、佐野舜一、杉本和彦、星野友紀
    • 学会等名
      第18回東北育種研究集会

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公開日: 2024-12-25  

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