• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

センサー細菌を活用した環境中におけるリグニン生分解の実態解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05872
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

上村 直史  長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50646528)

研究分担者 亀井 一郎  宮崎大学, 農学部, 教授 (90526526)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードリグニン / 環境試料 / 白色腐朽菌 / 木粉 / フェルラ酸 / バクテリア / 蛍光タンパク質 / 転写制御
研究実績の概要

リグニンは自然界で「真菌等による高分子構造の解体」と「生成した芳香族化合物の細菌による代謝」を経て無機化される。一方、環境中ではリグニンの解体で生成する芳香族化合物が速やかに分解されるため、化学分析ではほとんど検出されない。このため、環境中ではどのような化合物がリグニンの解体で生成し細菌により代謝されているのかは明らかでない。本研究では、申請者が開発した様々な低分子芳香族化合物の代謝を検出できるセンサー細菌を利用し、自然環境におけるリグニン由来化合物の存在と、真菌による木材腐朽時に実際に細菌がリグニン解体物を代謝するかどうかの解明を目的とした。
これまでに作出してきた、様々なリグニン由来化合物を代謝できるSphingobium sp. SYK-6株を宿主としたフェルラ酸のセンサーが、蛍光顕微鏡で評価可能かどうか調査した。センサー細菌を包埋させた寒天培地に1μM~1000μMのフェルラ酸を染み込ませたろ紙を静置した結果、10μM以上の濃度で顕著なフェルラ酸応答によるGFP蛍光が観察された。本手法を応用し、白色腐朽菌により分解された木粉に対して、本センサーが応答するかどうか検討した。白色腐朽菌のCeriporiopsis subvermispora、Phanerochaete chrysosporium、Trametes versicolorがそれぞれ接種された広葉樹のコナラの木粉を30日間培養することで腐朽させ、各腐朽木粉の懸濁液を染み込ませたろ紙をセンサー細菌包埋培地に静置し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、P. chrysosporiumの木粉試験液において、顕著なGFPに由来する蛍光が観察されたことから、P. chrysosporiumによるリグニンの分解で生成した芳香族化合物をSYK-6株が代謝したことが強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度までに開発したSphingobium sp. SYK-6株を宿主としたセンサーについて、蛍光顕微鏡で評価する方法を確立できた。また、本研究の最大の目的の一つである、白色腐朽菌による木材の分解物に対して本センサーが応答できることを示すことができたのは、大きな成果であると考えている。

今後の研究の推進方策

1)センサー細菌のバリエーション拡大:2022年度に実施できなかった、既に構築済みのセンサーの性能評価を行う。β-1型二量体化合物、アセトバニロン、プロトカテク酸のセンサーについて検出できる化合物濃度を調査する。
2)環境中のリグニン由来化合物分析:引き続き環境試料の分析を継続する。リグニン量と真菌の活動が活発な環境として森林土壌、腐朽木材、堆肥など、リグニン量が少なく真菌がほとんどいない環境として泥、海水、河川水などに対してセンサー細菌を反応させ、これら試料に応答可能な化合物が含まれるかどうか調査する。
3)真菌による木材腐朽およびリグニンの解体時におけるセンサー細菌の応答性:研究分担者の宮崎大学の亀井教授により調製されたPhanerochaete chrysosporiumによる腐朽試料のHPLC-ESI-MSによる成分分析を実施し、どのような化合物に対してセンサー細菌が応答したのか考察を得る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] リグニンの生分解を解析するためのバクテリアセンサーの開発2023

    • 著者名/発表者名
      上村 直史、白濱 里帆、亀井 一郎、政井 英司
    • 学会等名
      農芸化学会2023年度大会
  • [備考] 微生物代謝工学研究室ホームページ

    • URL

      https://bio.nagaokaut.ac.jp/~masai-l/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi