研究課題/領域番号 |
21K05879
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松山 史憲 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30435482)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 促進酸化法 / 液中放電 / プラズマ / マイクロバブル / 水質浄化 |
研究実績の概要 |
本研究では,家庭用を想定した小型浄化槽の低炭素化を実現するために,独自設計の流体混合器を用いたマイクロバブルとプラズマを融合した促進酸化法を提案し研究を行ってきた.実用化のためには,気泡界面プラズマ形成機構の理解や高効率化と共に反応を制御することが必要不可欠である.そのため,プラズマ生成条件(印加電圧・電流、溶液ph、気泡径・量)と分解処理速度の関係性を実験により明らかにし,最終的には難分解性モデル物質分解反応の制御に挑む. 本年度は昨年度に引き続き,高効率化を目指した装置内部の改良を行うとともに,処理液の物性による印加電圧・電流の違いを測定し,得られた成果は以下の3点である. (1)昨年度は,銅棒とその同心円状に設置されたワッシャーへと構造の改良を進めたが,さらに放電機構の検証を行い,ワッシャーのエッジ部を増加させることで,インジゴカルミン水溶液の酸化(脱色)実験において,脱色完了時間を3分短縮できた. (2)印加電圧とパルス数の処理効率への影響を調査するために,電流×電圧値とパルス数の積を一定にして比較実験を行った結果,処理効率に対しては印加電圧よりもパルス数がより支配的に作用することが分かった. (3)処理液の物性が印加電圧・電流に及ぼす影響を調査するため,人工海水をモデルに1~3%とその濃度を変化させて実験を行ったところ,電気伝導率が増加することと,表面張力の低下および気泡界面への影響により発生する気泡径が小さくなることから,水道水の場合に比べて1.4~2.2倍高い電圧を印加しなければプラズマ生成に至らないことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の計画には,難分解性有機物のモデル物質である酢酸の分解調査も予定していたが,評価方法の定量化が未だ上手くいっておらず,現在も分解評価進行中であり,明確なデータ整理が出来ていない.そのため,別のモデル物質の分解評価も行えていない.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度末に着手している難分解性有機物のモデル物質である酢酸の分解について,フーリエ変換型赤外分校光度計を用いた評価法の確立を行う.その上で,生成化学種の調整により,分解反応の制御を試みる.また,他の難分解性モデル物質についても,同様に分解評価と反応制御を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した学会が近場であり,旅費が当初予定よりも少なく済んだ.次年度は,フーリエ変換型赤外分光光度計での測定に必要な誘導体化処理の試薬・オゾン計を購入予定である.
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