本研究では、家庭用を想定した小型浄化槽の低炭素化を実現するために、独自設計の流体混合器を用いたマイクロバブルとプラズマを融合した促進酸化法を提案し研究を行ってきた。実用化を目標として、プラズマ生成条件と分解処理速度の関係性を実験により明らかにし、難分解性モデル物質分解反応評価を行い、得られた成果は以下の通りである。 (1)高効率化を目指した装置内部の改良として、これまで1対の銅ねじから構成されていた放電部について、銅棒とその同心円状に設置するワッシャーへと変更した。これにより、インジゴカルミン水溶液の酸化(脱色)試験において、脱色完了時間を10分短縮できた。さらに、ワッシャーのエッジ部を増加させることで、3分の短縮に成功した。 (2)パルス数を固定し印加電圧を15、20、25 [kV]と変化させた場合、酸化(脱色)処理速度は、わずかに早くなる傾向が見られた。また、印加電圧を固定してパルス数を50、150、250 [pps]と変化させた場合、酸化(脱色)処理速度が明確に短縮される傾向が見られ、印加電圧よりもパルス数が酸化処理へ優位に働くことが分かった。 (3)処理液の物性が印加電圧・電流に及ぼす影響を調査するため、人工海水をモデルに1~3[%]とその濃度を変化させて実験を行ったところ、電気伝導率が増加することと、表面張力の低下および気泡界面への影響により発生する気泡径が小さくなることから、水道水の場合に比べて1.4~2.2倍高い電圧を印加しなければプラズマ生成に至らないことが明らかとなった。 (4)難分解性モデル物質として選定した濃度100 [mg/L]の酢酸水溶液の分解試験をおこなったところ、60分の処理で分解が確認できた。これは、OHラジカル生成によるものと考えているが、その生成量を意図的に変化させて、分解を制御するところまでは至らなかった。
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