研究課題/領域番号 |
21K05887
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
出口 善隆 岩手大学, 農学部, 准教授 (40344626)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イノシシ / 土地選好 / 林道 / 広葉樹林 |
研究実績の概要 |
豚熱の感染拡大により、野生イノシシの制御が課題となっている。一方2000年代以降、イノシシの分布域は拡大し、岩手県にも広がっている。多雪地域において、イノシシはどのような土地選好性をもっているのかを解明することは、生物学的にも、イノシシの行動域を制御する上でも重要である。 1)生活痕跡調査をもとにした土地選好性調査 土地利用6分類(広葉樹林、針広混交林、針葉樹林、アカマツ伐採地、放棄牧草地および林道等)での痕跡数および掘り返し数は林道等で有意に多く、その他の土地利用では期待値を下回った。このことから、イノシシは林道等を採食地として選好することが確認され、林床を覆うササ群落よりも草本類を餌として好むことが示唆された。林道を除く5分類(広葉樹林、針広混交林、針葉樹林、アカマツ伐採地および放棄牧草地)での痕跡数および掘り返し数は広葉樹林で有意に多く、イノシシは広葉樹林を採食地として選好することが示唆された。6分類での掘り返し数の月変動は、月により掘り返し数に偏りがあり、10~12月に期待値以上であった。このことから、10~12月は植物の地下部を利用すると考えられた。林道を除く5分類での掘り返し数の月変動は、月により掘り返し数に偏りがあり、5月および6月と10~12月に期待値以上であった。このことから、5月および6月はササのタケノコを、10~12月は植物の地下部を利用すると考えられた。 2)GPSを用いた土地選好性調査 イノシシを捕獲、GPSを装着し、放獣し、GPSでは、3時間に1回位置を記録する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、GPS首輪がまだ輸入できない状況にある。そのため、イノシシ捕獲に向けた関係者で打ち合わせ等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「生活痕跡調査をもとにした土地選好性調査」では、順調に調査が進行し、当初の計画以上に進展している。しかし、「GPSを用いた土地選好性調査」では、新型コロナウイルス感染症の影響で、GPS首輪がまだ輸入できない状況にある。そのため、研究準備として、イノシシ捕獲に向けた関係者による打ち合わせ等を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後もイノシシの生活痕跡調査をもとにした土地選好性調査を継続して行い、土地利用の季節変動等を明確にする予定である。また、GPS首輪が納品され次第、イノシシを捕獲、GPSを装着し、放獣を行い、位置データをもとに、イノシシの土地利用に対する土地選好性を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
GPS首輪を発注したが、新型コロナウイルス感染症の影響で、まだ輸入できていない状況にある。次年度以降、納品次第、イノシシを捕獲、GPSを装着し、放獣し、GPSデータの取得を行う予定である。
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